アップルは例外ケースなのか?
ソフトバンクや楽天と同じように、「カリスマ経営者への依存リスク」を有価証券報告書で公表している会社はネット企業に多い。
日本最大級の携帯サイト「モバゲータウン」で有名なディー・エヌ・エーは、南場智子社長が業務を継続することが難しくなった場合、「当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性がある」としている。また、2008年末にJASDAQに上場したばかりのネットベンチャーpaperboy&co.(ペーパーボーイ・アンド・コー)も、創業者である家入一真社長への「依存リスク」を認めている。
一方、日本最大級のSNSサイトを運営するミクシィの有価証券報告書には、創業者でもある笠原健治社長への「依存リスク」が書かれていない。その理由について、同社広報は「本部長や部長職の採用を行うなど、代表者に依存しないで組織を運営していく体制ができているため」と話している。
このような違いについて、ベンチャーキャピタリストの辻俊彦氏は
「ミクシィなどのようにWeb.2.0的にユーザーの活動で成り立っている事業は、運営側の代表者の役割はそれほど大きくないと考えられるが、ソフトバンクや楽天、ヤフーは、代表者が休職した場合の影響が大きいだろう」
と分析する。では万が一、孫氏や三木谷氏に"不測の事態”が起きたら、アップルと同様の「株価急落」現象が起きるのだろうか。
「アップルの場合は、ジョブズがいなくなってから業績不振になり、復活したらiMac、iPodで絶好調になった、という過去の実績が大きく影響している。日本の場合は社長復帰ということ自体が珍しいので、ジョブズのように『いなくなると業績不振に陥った過去』がないと今回のような急落はないだろう。強いてあげるとすれば、ユニクロブランドのファーストリテイリング(柳井正社長)などが想定されるのではないか」
と推測している。
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