がんばっている人が幸せになれる農業を目指して
もちろん農業は甘くない。誰かに言われるままみんなと同じことをしていたのでは儲かる農業は実現できない。黒川さんも勉強して、また綿密な計画を立ててそれを実践しているからこそできているのだ。役場勤めと違って終身雇用ではないし、体が動かなくなったら収入はなくなる。そういう不安はもちろんあるだろう。
でも黒川さん夫婦は毎日とっても楽しそうだ。
「農業をはじめてから人間らしく、とっても生き生きしていている」
と、栄子さんは役場勤めしていたころの剛さんと比べて言う。
黒川さん夫婦のような一生懸命がんばっている人が幸せになれる儲かる農業ができれば日本の就農者数が増加し、食料自給率問題も解決するかもしれない。
そんなことを思いながら剛さんのほうれん草を食べていた。
セレン社長秘書 大倉野あやか