野党の「派遣規制政策」は失業率悪化を招くだけ
ちなみにセーフティネットとはその結果生じた最終的な格差に対して提供されるべきであり、正規と非正規の身分制度を残したまま拡充しても意味がない。「封建制度の年貢をちょっと減らす」程度のもんだ。
かも、努力せずにふんぞり返っている連中はそのままだから、企業の生産性も上がらず、全体のパイも増えはしない。ツケは全て非正規側にまわされ、こうしてますます貧しいものは貧しくなっていく。そう、今まさに現実に起こっている出来事だ。
そういう構造的問題には一切触れぬまま、野党の派遣規制政策を実現すればどうなるか。「2億円でしか雇えないようにしろ!」とやってしまうわけだから、普通に考えれば失業率が上がるだけだろう。やるのなら正社員のハードルを下げる流動化とセットでなければならないはずだ。
共産党はいまや一種の宗教政党であり、社民・国民新党はバカのオールスターなのでしょうがないが、民主党はそれなりに優秀な人材が揃っている(特に若手)。彼らが上記のアングルを理解していないはずはない。
ではなぜ方針転換したのか。恐らく、国民自身がそれを望んでいると見抜いたからだろう。日本が覚醒するには犠牲が必要なのかもしれない。血を流すのは非正規雇用労働者と言う弱者なのではあるが。
城 繁幸