安易な「派遣規制」で大失業時代がやってくる

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野党の「派遣規制政策」は失業率悪化を招くだけ

   ちなみにセーフティネットとはその結果生じた最終的な格差に対して提供されるべきであり、正規と非正規の身分制度を残したまま拡充しても意味がない。「封建制度の年貢をちょっと減らす」程度のもんだ。

   かも、努力せずにふんぞり返っている連中はそのままだから、企業の生産性も上がらず、全体のパイも増えはしない。ツケは全て非正規側にまわされ、こうしてますます貧しいものは貧しくなっていく。そう、今まさに現実に起こっている出来事だ。

   そういう構造的問題には一切触れぬまま、野党の派遣規制政策を実現すればどうなるか。「2億円でしか雇えないようにしろ!」とやってしまうわけだから、普通に考えれば失業率が上がるだけだろう。やるのなら正社員のハードルを下げる流動化とセットでなければならないはずだ。

   共産党はいまや一種の宗教政党であり、社民・国民新党はバカのオールスターなのでしょうがないが、民主党はそれなりに優秀な人材が揃っている(特に若手)。彼らが上記のアングルを理解していないはずはない。

   ではなぜ方針転換したのか。恐らく、国民自身がそれを望んでいると見抜いたからだろう。日本が覚醒するには犠牲が必要なのかもしれない。血を流すのは非正規雇用労働者と言う弱者なのではあるが。

城 繁幸

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人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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