最後は「この人が言うのなら」という関係づくりを
さて、部下との信頼関係は「約束→実行」の繰り返しで得られるものです。ルーズさが抜けないシュガー社員ですが、上司の背中はよく見ています。ベテランになると、つい「自分は許される」「おまえは10年早い」と例外を持ち出したくなりますし、実際それでよい場合もあるのですが、「約束やルールは守らなければならない」とシュガー社員に認めさせるためにも、踏ん張って自ら守らざるをえません。
また「自己主張しろ」という学校教育を受け、自分の意見を言える若手が多くなってきたことは喜ばしいのですが、まともな意見であっても、上司が「意見」慣れしていない場合があります。「今までそんなこと言ってきた部下はいない」「前例がない」と却下してしまえば「じゃあ、もう言わない」「こっちだってあなたの言うことなんて聞くものか」となってしまいます。
「現状の会社では、すぐには実現が無理」ということでも、理にかなった申し出であれば、どこまで手配したのかを伝えた上で、「今回は要望に添えなかったが、今後近づけるよう努力する」と伝えれば、切り捨てられた感覚にはならないはずです。そして、機会を見て実現に尽力している姿を見せることで「約束が実行された」という信頼感を得ることができます。
会社の方針が変わって、これまで許されていたことができなくなることもあります。最終的には「これは会社が決めたこと」というしかありませんが、だからといって頭ごなしに「組織では上位下達が当然」「文句を言うな」では、部下から尊敬される言葉からは遠ざかっていきます。
まずは「いかに相手が納得できる説明ができるのか」が問われますが、それだけでなく、そのような真摯な態度を、日ごろから繰り返していることが重要です。最後には「この人が言うのなら仕方がないか」という信頼関係を築いていくことが大事です。若手の意見には耳を傾けるが、毅然とした態度は崩さない、ちょっと苦味のある「ビター上司」を目指してください。
田北百樹子