不況が津波のように押し寄せるなか、ハローワークだけでなくインターネットの求人サイトでも職探しをする人が増えている。なかでも、最近急増しているのが「寮完備の仕事」を探す人たちだ。
検索ワード「寮完備」が急上昇
求人情報サイト「Q-JiN」。職探しをする人の増加に伴い、利用者は従来の1.5倍に増えているという
求人情報サイト「Q-JiN」では、中小企業を中心にした求人広告を掲載している。同サイトの利用者はさまざまなキーワードで自分にあった仕事を検索できるようになっているが、人気の検索ワードの推移をみると、どんな仕事のニーズが高まっているかがわかる。
景気悪化が鮮明になった08年の秋以降、急上昇した検索ワードは「寮完備」「寮」「住み込み」といった"住まい"に関するキーワードだ。
たとえば「寮完備」というワードは、08年1月の時点では66位、2月も107位と検索数が少なかった。ところが、景気が悪くなるにつれ検索数が増え、11月は4位、12月は5位とランキング上位に顔を出すようになった。「住み込み」(12月14位)、「住込み」(同17位)、「寮」(同19位)といった関連ワードの検索数も増加している。
この背景には、いわゆる「派遣切り」の急増があるとみられる。自動車工場などで派遣社員や期間工として働いていた人たちが、契約打ち切りで寮から退去せざるをえなくなり、新たに「寮完備の仕事」を求人サイトで探しているというわけだ。
不況で主婦も外へ働きに出る?
「寮完備」と同じく、最近増えているのが「託児所」というキーワード。08年1月は24位だったものが、10月、11月はいずれも1位と大幅に順位を上げた。
このような変化について、同サイトを運営するアンティーク広報宣伝チームの上田康之さんは、
「不況の影響によって、子供をもつ女性で仕事を再開しようという人が増えているのでしょう」
と分析している。結婚または出産を機に仕事から離れたが、景気の悪化で家計の収入が減少したために、再び外に働きに出よう。そんな女性が増えているとみられるのだ。
そのほか、「英語」「中国語」「COBOL(=コンピュータ言語の名前)」といった資格に関するワードの上昇も目立つ。
「自分がもっている資格を生かして新しい仕事をしようという人が増えている、と考えられます」(アンティーク・上田さん)
不況になると資格産業が栄えるといわれるが、求人サイトでの検索ワードの変化も「資格人気」の高まりを示しているといえそうだ。