「ウォール街」を見れば金融危機の原点がわかる!
いま再注目されている映画「ウォール街」
一方、大倉野さんが「金融に強い上司がプッシュしていた」として推薦してくれたのが、オリバー・ストーン監督の 「ウォール街」(1987年)だ。
「出世願望の強い若手証券マンと、冷酷かつ貪欲な投資銀行家の物語だそうで、M&Aの内側が赤裸々にわかるとお勧めとのことです」
米国の投資銀行が引き起こした金融危機に世界がほんろうされている今。20年前に作られたこの映画を見れば、問題の原因が見えてくるかもしれない。ただし、DVD化されておらず、VHSビデオテープしかないので、レンタルショップに置いてあるかは微妙だが。
この「ウォール街」とほぼ同時期に公開されたのが、フランシス・フォード・コッポラ監督の「タッカー」(1988年)だ(こちらもVHSのみ)。これは、1940年代後半にアメリカで自動車会社をつくった起業家プレストン・タッカーの半生を描いた作品だ。「サラリーマンに向かないヤツ」を連載している塚田祐子さんが挙げてくれた。
自動車産業が危機に瀕する今だからこそ見る価値がある「タッカー」
「しばらく映画を見ていないので、思いつく作品がないのですが・・・。ちょうど私が独立して創業したころ見た映画です。株式という形で、夢に投資してくれるアメリカはいいなと思いました」
「株式会社」という資本主義の根幹にある仕組みを最大限に生かして発展してきた国、アメリカ。「タッカー」はその象徴である自動車産業の勃興期を描いた映画だ。自動車業界がかつてない危機に直面している今、改めて見直してみるのもいいだろう。
最後に、ただいま劇場公開中の映画を一つ。「29歳の働く君へ~いまからでも遅くない!」の城繁幸さんが推薦する「トウキョウソナタ」だ。雇用問題について鋭い提言を投げかけている城さんらしく、「トウキョウソナタ」には現在の日本の雇用状況の変化が現れていると指摘する。
「日本的雇用が崩れる中、日本的家族モデルも変化せざるをえません。 具体的には、会社人間の父と専業主婦の母、ローンで家を買うと いう家族像です。本作品には変化を受け入れる家族と受け入れられない家族が登場する。答えはなんてことないもので、それもすぐ身近にあるのですが、そういうものほど見つけにくいのかもしれません」
この映画は2008年のカンヌ映画祭で、「ある視点」部門審査員賞を受賞。DVD化はまだ先になるが、08年秋から09年春にかけて全国各地の映画館で上映中だ。