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問いかけを通じて「問題解決の手法」を勉強してもらう

   さて、そんなシュガー社員に対して、どういう対処方法をとればいいのでしょうか。大企業ならいざしらず、会社というものは社員が力を合わせて仕事をし、売上や利益を獲得していくものです。

   「大資本vs.労働者」とか「スーパー上司が若者を優しく導く」とかいう絵に描いた構図を、現実の職場に持ち込まれても、実際に働いている人たちは戸惑います。忙しい職場では、若手社員が中心に回っているのではなく、むしろ逆です。

   依存心が強くクレームばかり言うシュガー社員には、問いかけを通じて「問題解決の手法」を勉強してもらう必要があります。まず、彼らが仕事を通じて本当の意味で「問題点」と感じたのなら、それは「成長への第一歩」と受け止めましょう。そして、

「あなたが目指したい状態は何なのか、それは現実的なのか」
「現状では、何が足りないのか。その要因は何か」
「具体的に何をどうすれば改善できるか」
「他人を動かすには、どういうコミュニケーションをとればよいか」

   などを、問いによって引き出せれば理想です。このように考えを進めていけば、単に文句ばかり言っていても状況は変わらないことが理解できるはずです。

   そもそも「めざす状態」の当面の落としどころが、予算などによって大きく変わることなどを理解できるようになれば、それは「一人前の社員」になる第一歩を踏み出したことになります。問題解決の思考に慣れていけば、依存心の強い文句も少なくなるものです。こういう思考についてこられる若者は真性シュガーではないので、安心してよいでしょう。

田北百樹子

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田北百樹子(たきた・ゆきこ)
札幌市出身。田北社会保険労務士事務所所長。保険関係の手続や就業規則作成にとどまらず、人事考課制度導入や社員教育など、企業の人事労務を幅広くサポートしている。「シュガー社員」の名付け親で、09年3月にはシリーズ第3弾となる『ブラック企業とシュガー社員』(ブックマン社)を刊行。
「シュガー社員」から会社を守れ! (PHPビジネス新書 74)
「シュガー社員」から会社を守れ! (PHPビジネス新書 74)田北 百樹子

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