インターネットの発達によって、多忙なビジネスパーソンが、すばやく情報を集められるようになった。しかし、情報の信頼性や携帯性・一覧性の点では、書籍にもメリットがある。特にワンテーマを一冊にまとめた「新書」は、ボリュームや価格の面から人気がある。「新書マップ」は、そんな新書との出会いを演出してくれるウェブサイトだ。
キーワードから連想するテーマの「新書リスト」を作成
12のキーワードと最大10のテーマが表示される
「新書マップ」のトップページから、たとえば「売れて儲かる商品やサービスを作る」という文章で検索してみよう。すると、星図盤のような円形の図の中に、「ヒット商品」「マーケティング」「ネーミング」といった言葉が表示される。これは検索窓に入れた文章から連想される「テーマ」を並べたものだ。また、円の外側には「時代」「モノ」「社会」など、自分が入力した文章に関連する「キーワード」が表示される。
テ―マをクリックしていくと、『セブン-イレブンおでん部会』(朝日新書)や『ぐっとくる題名』(中公新書ラクレ)などを含む「新書リスト」が表示される。最初に入力した漠然とした文章から考えると意外な検索結果だが、結構よいヒントになりそうな題名だ。
さらに、書籍紹介ページ右側には「プレゼンテーション術」「取材術、インタビュー術」など、派生するテーマが表示される。
この検索システムのベースには、国立情報学研究所が開発した「汎用連想計算エンジンGETA(ゲタ)」の技術がある。GoogleやYahoo!のように目的の情報へ「絞り込んでいく」のではなく、ある語句から連想する情報に「広げていく」機能だ。
「新書マップ」を運営しているNPO法人連想出版の中村佳史氏によると、この検索エンジンは、あいまいな言葉を基に別の情報を思い起こす「連想」の力を再現することを試みたという。
「一般的な検索エンジンでは、適切な検索キーワードを選ぶこと自体が難しいものです。そこで、人間の連想を刺激したりサポートしたりして、本当に必要な情報にヒットする検索エンジンを検討しました」
「今売れてる新書ベスト10」でトレンドをつかめる
「GETA」は、データベース内の「目次」や「テーマ説明」「書籍紹介」の文章と、検索する文章を解析して、マッチングする能力に優れている。検索する文章に分量の制限はない。
「大学のレポートを丸ごと検索欄に貼り付けて検索したところ、見落としていた文献を発見できたという使い方もあるようです(笑い)」
このほか、「想-IMAGINE」を使うと、「新書マップ」に加えて、ウィキペディアや書籍販売サイトなどを一気に検索して、調べたい事柄を横断的に表示することができる。
データベースに収められている新書・選書は1万冊を超える。ここ数年で発行された新書は、ほとんど網羅されていると言ってよい。新刊も入手し、テーマ分類などの検討が毎月行われているという。検索で表示される「テーマ」は、1000個以上だ。
また連想出版は、「新書マップ」のほかに「風[KAZE]」という月2回更新のウェブマガジンを運営している。最新ニュースに関連する新書や、「今売れてる新書ベスト10」も紹介しているので、ビジネスのヒントや話題を探すために、アンテナを高くして情報を集めたい人には使える内容だ。
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