「宴会の幹事」というと、新人がやらされる、誰もがやりたくない面倒で損な役回りというイメージが強いと思います。しかし、宴会幹事を引き受けてみると、意外なメリットに驚きます。職場のさまざまな人とコミュニケーションを図れるし、「プロジェクト」の運営力を実地に身につける訓練にもなるのです。
面倒な幹事は、あえて手を挙げて引き受けよう
会社に勤めていると、「歓迎会」「送別会」「忘年会」「新年会」など、さまざまな節目で「宴会」が開かれます。「幹事」は、参加者が満足する企画を立てたり、参加者に連絡をとったり、店との交渉や飲食の手配、会場設営や集金などをしたりと、さまざまな仕事をこなさなければなりません。
なので、大多数の人はできれば幹事を避けて通りたいのが心情でしょう。しかし業務以外で、宴会ほど自分の存在感を示せるところはありません。
凡人は、宴会幹事に進んで手を挙げましょう。どうせやるなら、ジャンケンで負けて嫌々引き受けるのではなく、自分から立候補しましょう。そうすれば周囲に「あいつは面倒な仕事を買って出る感心なヤツだ」と良い印象を与えることができます。
幹事になると、宴会をきっかけにして、いろいろな人と話す機会が生まれます。日頃あまり話したことのない偉い人、同じ部署でも一緒に仕事をしたことがない同僚、他部署の人などとコミュニケーションを取る機会が得られるのです。
業務外で良い人間関係になると、仕事面でも意外に良い影響が出てくるものです。「一度話したことがある」「顔と名前が知られている」「感心なヤツというイメージがある」ということは、社内で快適に仕事をしていく上で有利に働きます。
宴会には「大きな仕事」に通じる要素が満載だ
宴会は、ある意味「職場の一大プロジェクト」です。全体の企画・段取り、スケジュール管理、当日の仕切り、予算管理など、仕事に共通する事項もあります。司会をやれば、人前で話す度胸もつきます。最初は緊張すると思いますが、何回かやれば慣れます。場数を踏むことが大切です。
会場を設営するためには、料理の内容、個室の有無、参加者の好み、予算などを総合的に判断する必要があるので、一種のマーケティングが必要です。限られた予算で良い店を発見するのは、幹事の重要なミッションです。
私は幹事を失敗したこともありますが、慣れてくるにつれて、段取りが「仕組み化」されてきました。ある年には、約70名の忘年会を企画しました。他部署の部長と話をしたときに「今まで管理本部全体で忘年会をやったことがない」と聞いて、自分がやることを決意し、全ての準備をほぼ私1人で行いました。
そのころまでには、自分の中でノウハウが蓄積されていたので、やってみればさほど大変ではありませんでした。それでも進めていく中で、周囲から「大変そうだし手伝おうか?」と声をかけてもらったり、良いアドバイスをもらったりして助けられました。
その結果、忘年会は「他部署とのコミュニケーション」というテーマどおり、参加者同士が予想以上に盛り上がり、多くの方からねぎらいの言葉をもらいました。これぞ宴会幹事の醍醐味です。機会があったら、ぜひ立候補して引き受けてみてください。