「英語は流暢だけど仕事ができない人」では本末転倒
その点、メールの場合は時間的余裕があることもあり、人の文章を読んで理解するまでは何とか行き着くでしょう。しかし、その後の発信力を磨くにはかなりの熟練が必要です。英語はYESとNOをはっきりすれば良いのでラクだ、などと言われたりしますが、とんでもない。言葉のニュアンスを把握し、硬軟取り混ぜて交渉をすすめていくチカラがないと、他の人々の信頼を勝ち得ることは出来ません。
・・・とかなりレベルの高いことを言ってきたと思われるかもしれません。でもビジネスで肝要なのは儲けることなのですから、その点からすると英語力など二の次だとも言えます。
実はトップクラスの外資系金融機関でも英語がほとんどできない、或いは非常に苦手とする人が意外にいるのです。典型的なのが、日本株のセールスマン。日本の投資家相手に日本株を売っている限り、英語力は問題になりません。外資系では社内の連絡は原則的に英語ですが、そういう人は、例えばPCの調子が悪くなると英語が得意な秘書に頼んでインド人のITの専門家に電話してもらうわけです。それでも大きな儲けを上げたら誰も文句を言えませんし、ボーナスもたっぷりもらえる、というわけです。
英語力は外資系サラリーマンにとっての武器、それも相当重要な武器です。磨けば磨くほど切れ味が良くなって活躍の場が広がります。でも、あまり磨くことばかりに熱中して実戦を軽視したら本末転倒です。英語は流暢だけど仕事ができない人のことを外資系では「英語屋」などと呼んで馬鹿にします。錆びた刀でも人を倒すことは出来る。実戦で経験を積んで英語力に磨きをかけていく、というのが外資金融マンの進むべき道だと思います。
益村誠一郎