身勝手な主張を繰り返し、周りの迷惑を感じることができないシュガー社員。そんな社員とは誰もが「一緒に仕事をしたくない!」と思うことでしょう。一番の防衛策は、シュガー社員を採用前に見抜き、水際で入社させないことです。これからの採用担当者は大変な重責を担っていると自覚しましょう。
1. シュガー社員の「職務経歴書」は鵜呑みにしない
自分で考える力が弱いシュガー社員にとって、「マニュアル」は頼みの綱です。ネット上で「履歴書」「職務経歴書」を検索すると、実に多くの就職・転職支援サイトがヒットして、関係書類の書き方を懇切丁寧に教えてくれます。中には、職種ごとに細かく分けて添削指導してくれるサイトもあって、面倒見の良さにはめまいがしてきます。
こうなると、一定レベルの書類は誰にでも簡単に作れることになります。一見きれいにまとめていても、紋切り型でマニュアル丸写しの書類を平気で出すような応募者には、経営者や人事担当者はだまされてはいけません。
ただしマニュアル自体が悪いわけではなく、それをどう使うかが問題なのです。マニュアルのレベルすら大きく下回っているようであれば、「最低限の要領の良さを備えていない」応募者と疑う必要があるかもしれません。
2. 自前の「適性検査」で実際のスキルを確認する
書類のチェックを終えたら、次に、書類の内容どおりに実際のスキルが備わっているか確認する必要があります。「採用してみたら書類は嘘だらけだった」ということがないようにするのが「適性検査」です。
適性検査というと、社外の専門家に依頼することと思いがちですが、自社でも十分作成が可能で、複雑なものは必要ありません。要は「自社が求めているスキル」が本当に備わっているか確認できればよいのです。
例えば「表計算ソフトの操作経験があります」といっても、そのレベルには大きな幅があります。数字を打ち込むだけなのか、単純な集計表の作成でよいなのか、複雑な関数計算までできる人材が欲しいのか、求めているスキルの基準を決めて試験に出すのです。「仕訳の経験」「給与計算の経験」なども同じことです。
なお、シュガー社員には、世の中や他人への関心が低く、自分の身の回りや趣味のこと以外には疎い特徴があります。こういう社員を採ってしまうと、言われたことしかやらず、自分で仕事のヒントになる本を探して読むことなど期待できません。自己啓発は自立した社会人のあるべき姿です。学習習慣のある人材を採るために、最近の新聞記事の内容を試験問題にしてもいいでしょう。
3. 「面接」でスキルアップを図る気構えを見る
「会社が求めているレベル」と「応募者の現状のレベル」のギャップを認識してもらうためにも、明確な基準での適性試験は必要です。ただ、適性試験の結果が悪い応募者を頭ごなしに「だめな人材」と切り捨てていくと、採用できる人がいなくなってしまいます。優秀な人材は、そうそう現れないものです。
現状でスキルが足りない場合には、応募者が「自分の仕事としてスキルアップを図る気構えがあるか」を、面接で確認する必要があります。向上心のないシュガー社員を採用してしまうと、入社後に時間とカネを掛けて教育してもムダに終わることが多いからです。
また、ネット上の「マニュアル」は面接での対応方法にも及んでおり、ありきたりの質問ではシュガー社員を見逃してしまいます。志望動機に「業界の将来性がある」「自分の能力が活かせる」などと回答してきたら、「具体的には?」という突っ込みを入れてみてください。マニュアル外のことを問われてしどろもどろになるのは、自分の考えがなく、就職に対して真剣に向き合っていない「シュガー社員予備軍」の可能性があります。
「誰にも負けない何かを持っていますか?」という質問も有効です。シュガー社員予備軍なら、仕事と全く関係ないのに「犬を大事に思う気持ちは、誰にも負けませんね」などと的外れな回答をしてくることでしょう。
田北百樹子