「農業が楽しい!」って全身で感じている
標高1000メートルの高原で育てたぶどうを原料にした「山中湖ワイン」。酸味をおさえた、やや辛口の味わいだ
山中湖の成果を聞いて私の心には「三輪さんやったよ!」と微笑んでいる鈴木勝久くんの顔が浮かんだ。今年の夏、私たちが山中湖村を訪れたとき、ぶどう畑を案内してくれたのが、花の都公園園芸部の鈴木くんだ。
日本の農家の高齢化が進む中で、まだ31歳の鈴木くんは、私が出会った"農業をしている人"で一番若い人だった。パッと見はとても農業しているようにとても見えない、ちょっと軟派なサーファー(?)のように見えた茶髪の彼。
だが、ぶどう畑を前に説明をはじめた鈴木くんを見て、それまでの軽いイメージは吹き飛んだ。
「ここに生えてる雑草、前はぺんぺん草ばっかりでした。でも三輪さんの指導通りにしたら、ほら、イネ科の雑草に変わってきたんです」
少し照れながら、でも自信に満ちた表情で鈴木くんは続けた。
「ぶどうの節間(せっかん)の長さは土作りしてから短く、しっかりしてきました。葉っぱも小さくなって葉脈がきれいな左右対称になってきたんです。ぶどうの房はしっかり実が詰まっていて、とにかく去年と全然違うんですよ」
鈴木くんはキラキラした目でとっても楽しそうに、三輪の土作りの成果を説明してくれた。
何かに満ち溢れた感じ。農業が楽しい!って全身で感じているのが、びんびん伝わってきた。素直にかっこいいと思った。外見とか見た目ではなく、内面の"魂"がかっこよかった。
こんないまどきの若者がとっても楽しそうに農作物を作っている。しかも輝いている。