会社の裏サイトをやっていたのがバレてしまった、というDさん。「大事にはならなかったんですけど、危ないところでした」と苦笑します。
業種も勘弁してくれというDさんが管理していたのは、PC用のレンタル掲示板でした。タイトルは「●●●(会社の略称)の休憩所~便所の落書きならぬ休憩所の落書きをどうぞ」というもの。
給湯室や喫煙所のような感じで、他愛もない話をしようという主旨でした。最初はDさんの周囲だけが知る掲示板として、上司の揶揄や愚痴など、文字どおり他愛もない書き込みが続いていました。
根拠不明の悪口が「裏サイト」にあふれかえった
ところが、多くの社員が知るところとなり、雰囲気が変わってしまいます。
「困ったのは、私がよく知らない地方の社員と思われる人たちの書き込みでした。ほとんど顔をあわせたことがないですから、社員や上司の名前はもちろん、あだ名や隠語を書かれてもワケがわからない。はじめは悪口や中傷は止めてと注意したり、ヤバそうな書き込みは削除していたのですが、そのうち私自身が忙しくなったこともあって、ほぼ放置の状態にしてしまったんです」
いつの間にか、裏サイトは匿名の書き込み者による根拠不明の悪口雑言であふれかえってしまいました。
裏サイトの存在が発覚したのは、ある取引先から「こういうものはマズいのではないか」とクレームが入ったからでした。その取引先を担当する社員が、酒飲み話で裏サイトがあることを喋ってしまったのです。
「徹底調査」のお達しを受けてサイトを閉鎖
取引先から知らされたということで、社長以下の経営陣が「みっともない」と激怒。
「徹底的に調査するとのお達しがあり、あわてて掲示板を解約して閉鎖しました。レンタルの申し込みは偽名で、連絡先のメールアドレスも捨てアドだったので私が特定されることはまずないのですが、万が一を考えて」
Dさんのことを知っている周囲の社員は、口止めするまでもなく、とぼけてくれたそうです。
「裏サイトがなくなったということで、会社の追及もウヤムヤになって助かったんですけど。見つかったらクビにされそうな勢いでしたからね。でも、大手企業の有名な裏サイトなんかは、社員の本音がわかるって黙認してるんでしょう? まあ、会社の恥って気持ちもわかりますけどね」
実は、いまもDさんとその周囲だけが知る裏サイトはあるそうです。有料のパスワード付きで、普通に検索しただけでは絶対に見つからないとか。
Dさんが管理職の立場になったとき、裏サイトの存在をどう思うのでしょうか。
井上トシユキ