サラリーマンに向く・向かないというより、会社組織の中では生きていけないタイプがいる。そういうタイプは、会社員という選択肢がなくなるので、結果として独立する道を選ぶことになる。
無茶ぶり上司にも「No」と言えないサラリーマン
上司に対して不満や悩みを抱えている人は、多いのではないかと思う。それが原因で、1度や2度会社を辞めたくなったことがあるかもしれない。そういったフラストレーションを感じながら、日々仕事をするのは、ストレスを溜め込むことになってしまう。
残念ながらサラリーマンは、上司を選ぶことができない。上司の言うことは、たとえその日によって言うことがコロコロ変わっても、意味のない残業をさせられることになっても、命令は命令。聞かなくてはならない。組織で働く悲しさは、どんなに無茶なことでも、理不尽な命令だと思っても、それに従わなければならないことだ。
しかし、サラリーマンは、会社のルールに従います、という契約を結んでいるわけだから、少々の我慢や忍耐は当然のこと。自分の思うように行かないことが多くても、それは仕方がないことだ。サラリーマンに求められるのは、組織の一員として、与えられた仕事でいかに成果を出すか、会社の業績アップにどれだけ貢献できるかになる。
「生殺与奪権」を握られていることに耐えられるか
上司に対して不満があっても我慢するのは、単に上下関係だけだけでなく、昇給やボーナスの査定、昇進までが上司の評価一つにかかっているからだ。仮に、反抗して上司に嫌われるようなことがあれば、最悪な話、降格されたり、左遷されたりすることもある。これは、少々誇張した言い方をすると、自分の「生殺与奪権」を握られていることになる。
※生殺与奪: 生かしたり殺したり、与えたり奪ったりすること。他人をどのようにも思いのままにすること。(大辞泉より)
一方、独立すると、何事に対しても自分で決定権を持てる。例えば、取引先の担当者が、あまりにもヒドイ条件を突きつけてきたら、丁重にお断りすればいい。1社失っても、また別の取引先を開拓すればいいことになる。
サラリーマンとして生きていくか、独立して仕事をするかの究極の選択は、他人に自分の人生を左右する権利を握られたままでいられるかどうか、そのことに耐えられるかどうかにあるのではないかと思う。どうしても耐えられないタイプは、サラリーマンとして働くという選択肢を捨てなければならない。
私は、独立してから20年以上たつが、どんなことが起こっても、ただの1度も会社員に戻りたいと思ったことはない。その理由は、自分の人生は、自分でハンドリングしたいと思っているからだ。これは、何にも代えがたいものになる。
上司と衝突した勢いで会社を辞めるのはよくない
ただ、会社組織の中では生きていけないタイプだと分かっても、独立して食べていけるかどうかということは、全く別問題だということを忘れてはいけない。会社から一歩外へ出て、最初に必要になるのは、「自分で仕事を取る力」になる。これは、会社員時代には要求されないものだ。仕事は与えられるものだったから。
だから、上司と衝突した勢いで会社を辞めてはいけない。冷静に自分のスキルを点検して、独立してやっていける力を身に付けていこう。
塚田 祐子