私用パソコンでウイルス感染「でも、かえってよかった」

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ウイルス感染がきっかけで「親子の会話」が深まった

   Aさんは長男に怒りを感じつつ、自分よりもネットを使いこなしている長男に感心もしました。聞けば、長男は

「エッチなファイルにはウイルスがついていることが多いけど、普通の映画ならそんなことはないと思った」
「学校でもネットやパソコン教育には力を入れていて、使いこなしている友達も多い」

と言います。

   そこで、Aさんは、長男の迂闊な行動で会社に大きな迷惑をかけてしまった、会社の仕事に支障が出ると、自分の給料の何倍もの損害を他の社員のみんなに与えてしまうことになるのだ、と長男に諄々と説いたうえで、P2Pネットワークとはどんなものなのかと長男に訊ねました。

   怒られてシュンとしていた長男でしたが、水を得た魚のように、嬉々として父親に説明をはじめました。ならばと、一緒になって今回のウイルスについても調べ、その対策についても検索して情報を集めました。

   その過程で、きちんとした著作権のあるものは、勝手にP2Pへアップロードすると罪に問われるということも学びました。

「よし、今日わかったことを明日、友達や先生に教えてあげるんだ。これからは勝手にお父さんのパソコンを使ったりしないように気をつけます。ごめんなさい」

すっかり気を良くした長男は、最後には素直に謝りました。

「幸い、被害はそれほど重大なものではありませんでした。会社には迷惑をかけてしまいましたが、親子のコミュニケーションがとれ、僕も息子もネットへのリテラシーがちょっと上がりました。僕のなかでは、雨降って地固まるって感じで、ウイルスに感染してむしろ得ることが多かったですね」

井上トシユキ

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井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。TBSラジオ「アクセス」 毎週木曜担当。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社刊)「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文芸春秋社 刊)など。
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