この秋のリーマン・ショックもあって、「外資系企業」に注目が集まっています。J-CAST会社ウォッチでも「外資系は『簡単にクビ』ってホントなの?」というコラムを掲載したところ、大きな反響がありました。今回は、読者のみなさんから寄せられたコメントを紹介しながら、もう少し「外資系のクビ」について考えてみたいと思います。(J-CAST会社ウォッチ編集部)
「朝、会社に行ったら磁気カードが使えない」
外資系投資ファンドに所属する金融マン・益村誠一郎氏のコラム「外資系は『簡単にクビ』ってホントなの?」は2008年10月15日に掲載されました。米国の大手投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻に追い込まれて1か月がたったころです。
「外資系ではクビになることは珍しいことではありません」
このような一文で始まるコラムでは、日系企業のサラリーマンには信じられないような「クビ切りシーン」がいくつか紹介されました。
たとえば、ある日突然、数十名の社員が会議室に集められてクビを告げられ、コンピューターや書類に一切さわらずに退社することを求められる「集団レイオフ」のケースや、ある朝会社に行ってみると磁気カードが使えなくなっていたという「単独解雇」のケースなど、シビアな事例ばかりです。
このようなコラムに対して、「北米在住、製薬会社で働いています」という「びっくり箱」さん(コメントNo.1)は、コメント欄に次のようなコメントを寄せました。
「先日、会社の同僚が解雇になりました。本当にここで説明されてるとおりです。朝、彼が会社に来たら磁気カードが使えず、あれ?と思ってる間に上層部が玄関まで迎えに。そのまま、会議室まで連れて行かれ、クビを宣告されたようです」
「私物をまとめて会議室に」と言われたら「卒業」
また「米国在住、某米系健康食品会社勤務」という「日常茶飯事」さん(No.6)は、「突然の解雇は日常茶飯事です。最初は驚きましたが今では慣れてしまいました」とコメントしつつ、次のように続けました。
「朝会社に来たら個室に呼ばれて30分以内に荷物をまとめるように指示された人や、IDカードがブロックされて会社に入れなくなった人。さらには社長が株主から解雇処分にされたこともありました」
上の2件はいずれも海外在住者からのコメントですが、もちろん国内からも投稿はされています。「外資系IT勤務」という「B」さん(No.9)は、
「職場に暗黙のルールがあり、オフィスでマネージャからの内線が鳴って『私物をまとめて会議室に』と言われたら卒業ですね。『きみの将来について3つのオプションを用意したよ』と切り出され、円満退社することになります」
と、自社でのクビ宣告の様子を紹介しています。
しかし同じ外資系でも、労働組合がある会社は事情が違うようです。コメントNo.5の「まっこい」さんのコメントは次のようなものでした。
「米国本社のIT企業で働いていますが、労働組合まである会社なので、よほどの事がない限りはありませんね。割と日本企業に近い会社かもしれません」
能力の高い人にはバラ色の世界だが、劣勢に回ると大変
このようなコメントについてどう思うのか。いま外資系で働いている人に直接、聞いてみました。ヨーロッパ系の製薬メーカーに勤める外山光一さん(35歳、仮名)は、
「外資系でも、ヨーロッパ系の会社はアメリカ系よりもマイルドといえます。たとえば、うちの場合は解雇というのはあまりなくて、能力のない人には退職金と1年分の年収を払って早期退職してもらうというのが多いですね」
と話しています。ただ、日系の企業と違って、能力に対する評価がダイレクトに給料に反映されるので、評価の低い人は自分から辞めていく傾向が強く、日本の会社でおなじみの「窓際族」はいないようです。
また外資系企業で働く日本人は「自分を高く売っていこう」と考えている人が多く、終身雇用的なものは会社に期待していないとのこと。外山さんも、
「いまの会社にずっといようという気は全くありません。条件がよいところがあれば、移っていくのが当たり前ですから。僕以外の社員も、このまま居続けようと考えている人は皆無なんじゃないかな」
と語っていました。一方、アメリカ系の保険会社で働く田辺祐晟(ゆうせい)さん(39歳)は、外資系企業で働くことの問題点を指摘します。
「外資系の企業は成果報酬型のところが多い。大手の保険会社では、何億も稼いでいる社員もいれば、最低賃金クラスの人もいる。合理主義が徹底しているシビアな世界なので、能力が高い人間や仕事がうまく回転している人にはバラ色の世界ですが、健康を害したりして劣勢に回ると、とても大変です」
日系の会社のような"温情"はまったく期待できないそうです。やはり外資系の企業で働くには、それなりの覚悟が必要なようですね。あなたは外資系企業で働いてみたいですか?
J-CAST会社ウォッチ編集部