「この仕事はボクには向いてない」と脱走するシュガー社員

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   このコラムの第1回「自分勝手な甘えん坊『シュガー社員』が増えている!」ではシュガー社員の5つのタイプを紹介しました。今回は、5類型の中でも最も責任感に欠ける「プリズンブレイク」(脱走)型を紹介します。真面目で実直にも見えますが、こらえ性がなくストレスに弱いため、壁にぶち当たると楽な方へと逃げていきます。

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注意した翌日に欠勤、そのまま黙って退職

    誰でも面倒なことよりは楽な方がいいのですが、一時的な楽を優先しても、後からもっと過酷な状況がやってくることもあるのです。このタイプは、そういう事態をイメージできません。「今さえ楽ならいい」「後は誰かが何とかしてくれる」という依存心の塊で、放置しておくと周りの社員が疲弊してしまいます。

    「プリズンブレイク」には二つのタイプがあります。第一のタイプは、真剣に仕事に向き合わず、短い期間で転職を繰り返す社員です。口癖は「この仕事は自分には向いていないと思います」。仕事の注意をされた次の日は欠勤し、そのまま退職届を提出せずに会社に来なくなります。

    職歴は豊富で、自分探しが止まらない状態にあるようです。根底には「自分が何に向いているのか分かるまでトコトン自分と向き合う」という考えがあるらしく、それ自体は他人の人生なので何とも言えません。しかし、目の前の仕事に真剣に向き合うことがないため、結局は自分も仕事も分からずじまいで、次の職場に移ることになるのです。

    しかし、前職で身につけたものがなければキャリアアップとはいかず、結果的に「蓄え」も「若さ」も削り取られていきます。専門的な業種でない限り、30歳までに3回以上の転職歴がある場合はこのタイプの可能性が高く、企業としては採用には慎重を要するでしょう。

    ただし、大手企業以外では求人しても応募者が少ないので、なかなか選り好みができません。こうなれば「イマドキの若者はこらえ性がない!」とばかり言ってもいられません。「あそこは人を育てられない会社だ」とならないためにも、若者が短期間で退職してしまう会社側の土壌を検証してみることも必要でしょう。

頼まれた仕事でも「分からない」ので放置

    「プリズンブレイク」第二のタイプは「自分探し」よりやっかいで、嫌なことはやらない、誰かやってくれないかなという社員。口癖の一つは「分からないのでとりあえずそのままにしておきました」。

    仕事で分からないことがあれば、頼んだ人に確認したり、自分で調べてみたりするのが普通ですが、こちらから「どう?」と確認するまで放置します。自ら仕事に取り組む姿勢は皆無で、完全に受け身の指示待ち社員です。

    このタイプに面倒な仕事を頼むと「この仕事は苦手なので別な方にお願いします」と言って、楽な仕事ばかり選びます。「自分ができない仕事を他の人に回して何が悪いの?」というのが心の柱。「できない仕事」の判断がビミョウに自分本位なので、他の社員にしわよせが行くのですが、それを「申し訳ない」と思わないところがシュガー社員なのです。

社内一丸の「プリズンブレイク撲滅運動」を

    第二のタイプは大手企業に多く見られます。優秀な社員の陰に隠れ、楽をしながら高い報酬を得たいと考えているため、上司のきめ細かいチェックが不可欠です。そもそも仕事に対する意欲が極端に低いため、成長させようと努力しても「え~、もうやめてよ~。今以上のことは期待しないでぇ!」というのが本音なのです。

    「こんなことで手を煩わせないでくれよ」と言っても「そのために管理職がいるのでは?」などと的外れの反論をしてきます。退職してほしいけどなかなか退職せず、管理職が激しいストレスを感じるタイプです。

    このタイプへの対応策は、社内で「プリズンブレイク撲滅運動」を展開することです。「上司が指示した仕事は勝手な判断で断らない」「ぎりぎりまで放っておかない」「進捗状況を報告させる」など、ある期間を決めて社内一丸となって取り組むのです。

    なぜ、そこまでしなければならないのか。まずシュガー社員は「言われなくても分かるだろう」が通用しません。「でも」「だって」という反論も忘れず、自分だけ注意されると「パワハラだ!」と過剰に反応します。したがって「社内一丸」で取り組むことが、ことのほか重要になってくるわけです。

田北百樹子

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採点:身近な“シュガー社員”を教えてください!
田北百樹子(たきた・ゆきこ)
札幌市出身。田北社会保険労務士事務所所長。保険関係の手続や就業規則作成にとどまらず、人事考課制度導入や社員教育など、企業の人事労務を幅広くサポートしている。「シュガー社員」の名付け親で、09年3月にはシリーズ第3弾となる『ブラック企業とシュガー社員』(ブックマン社)を刊行。
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