「動かしてみないと何があるかわからない」
管理会社のほうでも、バラバラの時間に何人もが打ち間違えて、そのたびにいちいち連絡を受けるとなると大変です。
A社では、タイムレコーダの「出退勤ボタン」をよく確認してから打刻するようにと、全社を挙げて呼びかけました。しばらくしてトラブルは減りましたが、それでもなくなることはありませんでした。
結局、試験導入を経て、A社ではICカードを使った管理システムを採用することに決めました。
「試験導入だったのでまだマシでしたが、あのときに一気に全社で導入していたら、今頃はどうなっていたことやら……。電子部品をつくっているということで、コンピュータ・システムには慣れていると思っていましたが、動かしてみないと何があるか本当にわかりませんね。今回ばかりは身に沁みましたよ」
最後は、A社の担当者が苦笑まじりに語ってくれました。
井上トシユキ