ひと頃、流行り言葉のように使われたのが「アウトソーシング」。
「機械やコンピュータにできることはそれらに任せ、人間はもっと生産性の高い業務に集中すべし」といったかけ声が全国的に喧しくかかるなか、大企業はもとより、中堅、中小企業でも管理系の業務にITを利用した新システムの導入が相次ぎました。
「出退勤の管理システム」を試験導入
もちろん、重苦しく続く不況のなかで、当面のコストカットのためになんとしても人減らしをしなくてはならないという、いかんともし難い事情があったことも事実です。
電子部品を製造しているA社は、製品の受注そのものは減らないのですが、価格の値下げをせざるを得ないという状況にありました。
工場の人手を減らさず、人件費などの固定費をカットしなければならない。口で言うほど簡単ではないこの課題に対し、とりあえず本社に近い3か所の工場で、出退勤の新システムを試験的に導入することになりました。
タイムレコーダがLANでPCと接続されていて、自動的に出退勤データが管理ソフトに記録されるうえ、データに基づく給与計算も専用線で結ばれた外部の管理会社がやってくれるというものです。
これにより、わずかではありますが工場の管理部門の人減らしができ、電子的に入退室者が確認されるためカードマンの人数も減らすことができます。ICカードを使ったシステムよりも安価なことも魅力でした。