シュガー社員の「私生活」が職場を侵食する

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残業代ナシ「本人が同意」で乗り切るのは危険

    また、企業を取り巻く法律を熟知しているため、就業規則等の整備をしておかなければ「労働基準法違反だ」とクレームをつけられてしまいます。「時間外手当が支払われていない」と労働基準監督署に駆け込まれたとき、経営者は「採用時に本人が同意した」「残業は個人裁量でやっている」などと答えても通用しません。

    かといってタイムカードを押した時間のすべてを認めると、ダラダラと会社に居残り不当な時間外手当を要求する輩も出ます。仕事を効率化させて「早く帰れ」と檄を飛ばすことも必要です。「やりにくくなったなあ」と思う経営者の方もいらっしゃるかもしれませんが、これは「社会の常識」が変わったと頭を切り替えるべきです。

    時間外手当に関しては、クレームをつけるシュガー社員よりも、労働時間管理を怠って法令を遵守しない会社に問題があることが多いのです。経営者は人を雇用する限り、労働法の知識は最低限必要です。どうしても残業が発生する仕事であれば「変形労働時間制」や「みなし労働時間制」を導入して、会社も防衛を図る必要があるでしょう。

田北百樹子

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田北百樹子(たきた・ゆきこ)
札幌市出身。田北社会保険労務士事務所所長。保険関係の手続や就業規則作成にとどまらず、人事考課制度導入や社員教育など、企業の人事労務を幅広くサポートしている。「シュガー社員」の名付け親で、09年3月にはシリーズ第3弾となる『ブラック企業とシュガー社員』(ブックマン社)を刊行。
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