「婚活」という言葉が広まりつつある。会社に就職するのに「就活」(=就職活動)が必要なように、結婚するためには「婚活」(=結婚活動)が不可欠な時代になったというわけだ。しかし、そんな言葉ができるずっと前から「会社は結婚相手を見つける場」と割り切り、「婚活」をしていた女性はたくさんいた。
会社は「結婚相手を探す場所」
江崎陽子さんは小さなころから目標をはっきり決めて、それに向かって努力するタイプだった。一度目標を決めたら、余計なことはあまりしない。一時の感情に流されたりはしないのだ。
「中学校のときから、いいなと思う人が現れても、いま私がやるべきことはなんだろうと考えていました。付き合うよりも受験勉強をしたほうが、私の人生のプラスになる。そう思えるくらいの冷静さがありましたね」
高校のときは男女交際禁止の運動部に所属していたので、ひたすら部活に打ち込んだ。短大では彼氏を作って遊ぶと決めていた。そして、会社は「結婚相手を探す場所」だった。
「母親から『25歳までには結婚しなさい』と言われていたので、早くから結婚願望はありました。レールが敷かれているというわけではないけど、親が喜ぶことをするほうが楽なんですよね」
だから、恋愛をするときも「結婚相手としてふさわしいかどうか」というチェックが当然入るようになる。短大時代のチェックポイントは、「顔が好み」「背が高い」「タバコを吸わない」「やさしい」といったものだった。
「結婚したい男」の第一条件は?
しかし短大卒業後、東京に本社がある大手電機メーカーに入社すると、「結婚相手の条件」は大きく変わった。社会に出て大人の世界を知ったというのもあるが、営業の部署に配属されたことが大きかった。
「営業なので、飲み会に行くと、みんな積極的に盛り上げるような人たちばかり。世の中にはこんなに人を楽しませることができる人、コミュニケーション能力が高い人たちがいるんだ、すごいっ!と思いました」
会社には、短大時代には出会わなかった種類の人たちもたくさんいることに気付いたのだ。そして、「結婚相手の条件」に「コミュニケーション能力」と「要領の良さ」が加わった。それだけでなく、それまでの「背が高い」「顔が好み」「タバコを吸わない」といったチェック項目よりも、「コミュニケーション力」や「要領の良さ」を重視するようになった。
「要領の良さ」に注目したのは、それこそが仕事をしていく上でもっとも重要な能力だと考えていたからだ。
「これからともに生きていく上では『仕事ができる人』というのが重要。入社してすぐのころは『かっこよくて飲みに行きたいな』という人もいたけど、そういう人が仕事もできるとは限らないですから」
抜群に要領がいい「一期上の先輩」
そんな中で陽子さんの目に留まったのが、同じ部署の一期上の先輩だった鳥谷俊介さんだ。俊介さんは、背丈は普通だし、顔もすごく好みというわけでもない。タバコも吸う。しかしコミュニケーション能力が高く、要領が良かった。
「関西出身の人で、すごく面白い人。宴会部長という感じで、今までに出会わなかったタイプだった」
でも営業部だから、飲み会を盛り上げる力、人を楽しませる力がある社員は周りにたくさんいる。俊介さんはそれだけでなく、「要領の良さ」も際立っていたという。
「人を嫌うことがあまりないらしくて、いつも冷静なんですよ。上司にたて突いたり、客先で失敗するということが絶対にない。だから、新人のころから仕事をまかされていましたね」
入社したころ、陽子さんは友達に「社長になれそうな人を選ぶ」と言っていたそうだ。俊介さんはその候補としてふさわしかった。
「人生そんなにうまく行くとは限らないけど、この人だったら転んでも、どうにかつぶされずにやってくことができると思いました」
目標は定まった。では、どのようにして陽子さんは、結婚というゴールまで駒を進めていったのだろうか?
(つづく)
社内結婚必勝法 其の3
「できる男」を狙うなら、「社長になれそうな男」を選ぶべし。
※記事中の人物名は仮名です。「婚活」している人は社内結婚法第1回「最初は大嫌いな男だったのに(上)」と第2回「最初は大嫌いな男だったのに(下)」もチェック!
■社内結婚必勝法
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