「ここで見たことは口外するな」
そのなかで、同じような物流子会社や中小規模の独立系物流企業の現状を見て、非常にショックを受けたことがあったといいます。
同じくメーカー系物流子会社を訪ねたときのことです。
「その会社では、同業他社に先駆けて、十数億円もの費用をかけて一気通貫システムをつくっていて、個人的にも親しい仲だったので、もっとも参考にしたいと考えていました」
しかし、いざ訪ねてみると、古い知り合いの担当者から、こう釘を刺されました。
「お前の会社が同じ失敗をしないようにとの老婆心で、今日は見学してもらう。だから、ここで見たこと聞いたことは、とりわけ同業には口外しないでほしい」
いぶかりながらも仲の良い相手の頼みとあって承諾し、現場を見せてもらって愕然としたそうです。
「現場で働く社員やパート、アルバイトが、十数億円のシステムを一切使っておらず、旧態依然としたまま紙の伝票を回し、電話やバイク便、メール便などで連絡をとっていたのです」