最初は大嫌いな男だったのに(下)

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離れて暮らした「それぞれの5年間」

   梅雨空のもとの成田空港。新しい任地へと旅立つ健一さんのそばに、絵美さんの姿はなかった。会社のおかげで出会った二人が、会社のために別れることになった。

   それからまた、二人それぞれの生活が始まった。健一さんは飛行機に乗って見知らぬ土地を飛び回る毎日。一方、日本に残った絵美さんは以前と似たような暮らしを送りつつ、新しい彼氏ができて、しばし付き合ったりもした。

「自分の中ではもう完全に『別れた』という気持ちでした。でも、向こうから電話がかかってきたりして、なんだかんだで連絡は取ってましたね。『別れたけど仲のいい元カレ』という感覚。友達と一緒にアメリカに遊びに行ったときは、観光案内をさせたりして……」

   異国で久しぶりに会った健一さんは、以前よりも頼もしく見えた。手持ちの現金がなくなり困っている絵美さんのために、クレジットカード会社に電話して、現金を用意してくれたりもした。自分が全然知らない土地でたくましく生活している。その姿を見て、素直にすごいと思った。

   結局、健一さんの駐在期間は5年近くに及んだ。しかし、アメリカや日本で何度か会うことを重ね、帰国するころには再び元のような関係になっていた。

「ほかの人とつきあったりもしたけど、やっぱり彼が一番あうのかなと思ったんですよね。自分と全然違う考え方をして、自分に持っていないものを持っているところがいいんだな、と」
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