尊敬していたら、宮崎駿と仕事できなかった(鈴木敏夫『仕事道楽』)

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    数年前のある日、宮さん〔宮崎駿氏〕がとんできた。あの人は何か思いつくと、一人でしまっておけない性格でしてね、ともかく話してしまいたいんです。それもその当事者に。

   「鈴木さん、分かったよ!」
   「何が分かったんですか」
   「おれとパクさん〔高畑勲氏〕と鈴木さんが、ずっといっしょにやってこれた最大の理由がわかった」
   「何なんですか」
   「お互いに尊敬し合ってないこと」

    こういうことを言うときの彼は、ほんとうにいい顔するんですよ。「尊敬していたら、いっしょに仕事できない」というのはぼくもまったく同感でした。遠慮会釈なく、存分に言いあうことで仕事しているんですから、「尊敬」という言葉は入り込む余地がない。「尊敬」すると「遠慮」が生じますからね。

    ただ、重要なのは、言いたいことを言って、それがそのまま受けとられること。不信感をもってきかれると、違って伝わってしまう。そのまま受けとめてもらうための信頼関係は必要です。つまり、信頼はするが尊敬はしないという関係。

鈴木敏夫『仕事道楽―スタジオジブリの現場』〔岩波新書、97~98頁〕より)

(会社ウォッチ編集者Uのヒトコト)
「崖の上のポニョ」が大ヒットのスタジオジブリ。宮崎監督にばかり光が当たるが、関係者をまとめ上げ、お金を引っ張ってくるのはこの人。その舞台裏が分かって興味深い。「好きな人に囲まれて仕事をする、これは最高」とも。



新書ちょっとだけ

世は新書ブーム。次々と新刊本が刊行されているが、会社や仕事をテーマにしたものも多い。そんな中から「これは!」と思う内容をもつ新書の一部を抜粋して紹介する。

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仕事道楽―スタジオジブリの現場 (岩波新書 新赤版 1143)
仕事道楽―スタジオジブリの現場 (岩波新書 新赤版 1143)鈴木 敏夫

おすすめ平均
stars仕事が道楽であることの 幸福感
stars個性的な人たちとの仕事のしかた
stars楽しく大変に
stars正直、鈴木さんは「やっぱり凄い人だな」と思った。
stars聞き書きは共著にするべきだ

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