外資系ではクビになることは珍しいことではありません。あなたの人事考課が悪い場合、日本の大企業でしたら窓際におかれることになるのが普通でしょう。でも外資系にそんな温情はありません。一旦ダメとなったら米系で半年から一年、欧州系で二年程度でクビを切られることになります。
クビの通知は突然やってくる
またあなた自身には何の問題がなくてもあなたの行なっている仕事あるいは属している部署がなくなる、といった不運もあり得ます。その場合はババを引いたと思ってあきらめるほかありません。
クビの通知は数ヶ月前から上司が何となくウォーニングを出す、ということもありますが、多くのばあいは突然やってきます。たとえばこんな感じです。緊急ミーティングがある、との知らせで会議室にあつまると、他にも数十名の同僚がいます。そこで経営幹部がおもむろにこんな風に話しをしてきます。
「本日、皆さん方に去っていただかねばならなくなりました。このミーティングが終わりましたら、オフィスへは戻らず、直接出口からお帰りください。今後コンピューターや書類には一切さわらないでください。私物は後ほど宅配便でお送りします。この同意書に署名いただいた方には、今までの勤務年月に応じて特別退職割増金をお支払いいたします。ではご健闘をお祈りします」
これは大勢を一度にレイオフする例です。この場合は会社としても割増し退職金を払うなどの良心的なクビの切り方をします。裁判に訴えられたりマスコミにチクられたりすると面倒くさいですからね。
業者にクビを告知させる「非人道的」ケースも
でもひとりひとりを個別にクビにするときは「あなたは今日で終わりです」と言われて、割増し退職金ももらえず辞めていくのが普通です。(個人で会社と争っていこうというガッツのある人は少ないので、会社もタカをくくっているのです)
もっと非人道的なケースもあります。筆者が聞いたのはこんな例です。仕事でいつも使用しているブルームバーグ(通信社)からメールが来たので読んでみた。するとこんな文言が。
「お客様は一時的にお仕事とお仕事の間の空白期間に入られるご予定ですが、その場合でも、弊社のサービスは引き続き無料でご利用になれます」
つまり、クビを業者に告知させた、ということですね。自分の口から解雇を言い渡すのは避けたい、という気持ちはわかりますが、それにしても・・・。ひょっとしたらサブプライム問題でクビにすべき人があまりにも多く「ITを駆使した解決」を選んだのかもしれません(苦笑)。
あるいは、ある朝、会社に入れなくなって、磁気カードがおかしいのかな、と思 っていたら、同僚から「あれ、あなた磁気カードで使えなくなったの?可哀想に・・・」と言われた、などという例もあります。
クビになるたびにリッチになる「勝ち組」もいる
ただ、クビになるのは悪いことばかりでもありません。先ほどの例のように大人数の首切りの場合などはがっぽり手当てが払われる場合があるのです。現在ヘッジファンドにいるAさんなどは、外資系金融機関数社を数年おきにクビになり、そのつど千万円以上の割増し手当てをもらい「ごっつぁんです!」といって辞めていきました。
外資系ではクビはつきもの。どうせならクビになるときでも如何に会社からせしめるか、というのもあなたのチカラを示す部分なのです。
益村誠一郎