My Sound Story 自分の音を見つめ直す、Just earでしか得られない体験

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   音楽と出会い、イヤホンという存在に気付き、そしてJust earと出会った。そんな、音楽ファンであり、オーディオファンであり、Just earユーザーであるみなさんのお話を聞かせていただく「My Sound Story」。第4回目は、小学生の頃からイヤホンで音楽を聴き続けてきたという張本さんの登場です。「Sound of Harmony」を名付けた音質調整モデルXJE-MH1ユーザーの張本さん、実は生粋の「ソニーイヤホンのファン」だったようです。

   ── 小学生の頃からiPodで音楽を楽しんでいらしたそうですが、その頃からイヤホンにこだわっていたわけではないですよね?

張本 そんなことはなかったです(笑)。iPod付属のイヤホンを使っていて、それが壊れたりすると家電量販店で1000円か2000円かのイヤホンを、特にこだわりなく買っていました。

   ── その意識が変わったのはいつどうしてだったのでしょう?

張本 大学生になってからたまたま、家電量販店でソニーのコーナーに立ち寄ったことがあったんです。そこに当時に発売されたこの「XBA-H3」が置いてあって。小学校の頃からずっとイヤホンで音楽を聴いてきていましたし、ちょっと気になったんです。それでまあ試しに聴いてみようかなって。そうしたらそれまでに聴いたことのなかったような音が耳に流れてきて......。

   ── そこからイヤホン沼にハマってしまった?

張本 その時点ではイヤホン全般にハマったというより、ピンポイントに「ソニーのイヤホンを好きになった」という感じでした。その翌年には「XBA-A3」「XBA-Z5」も発表されて、そのソニーのイヤホンに注目しているうちに、じゃあプレイヤーもいいものに替えてみようと思い立って、ウォークマンの「NW-ZX2」を使うようになったんです。

   ── その頃は「ポータブルオーディオのファン」ではなく「ソニーのポータブルオーディオのファン」だったわけですね。

張本 でしたね。ですがそのさらに翌年くらいに、当時SHIBUYA TSUTAYAにあったe☆イヤホンに立ち寄ったとき、何となく別のメーカーのイヤホン、Campfire Audio「Jupiter」を聴いてみたんです。そうしたらそのキラキラとした音がとてつもなく衝撃的で。

   ── Campfire Audioは音のよさの表現が派手でわかりやすいですよね。

張本 そうなんです。そのときまでの僕はソニーのイヤホンやヘッドホン、中でも特に、演出の少ない音を志向したモニター系の製品へのこだわりが強かったのですが、音楽を楽しむってそれだけじゃないんだなって、気付かせてもらったというか。そこから一気に、ソニー製品だけではなく広く深いイヤホン沼にハマってしまった感じですね。

イヤホン収集が趣味の張本さん。数ある中からたどり着いたのがJust ear
イヤホン収集が趣味の張本さん。数ある中からたどり着いたのがJust ear

音楽を楽しむためのイヤホンが欲しい!

   ── ソニーから始まり、ソニーに限らず幅広く様々なイヤホンに興味を広げた張本さんが、またソニーのJust earにたどり着いたのも興味深いところです。Just earはどういったタイミングで検討し始めたのですか?

張本 その存在は発売当初から知っていました。でもその時点では、まだカスタムイヤーモニターへの興味が薄かったんです。ハイレゾ対応などのスペック面ではユニバーサルモデルのほうが進んでいると思っていましたし、当時の僕はそういうスペックとかをすごく気にしていたんです。ですが先ほどお話ししたJupiterのおかげで、「これからはスペックとか関係なく、音楽を楽しむためにイヤホンを買いたいな」という意識になれました。それでカスタムが視野に入ってきたときに、やっぱりソニー好きですからJust earが思い浮かんだんです。

   ── Just earを検討し始めてから実際にオーダーするまでがとても早かったようなのですが......

張本 2017年7月の頭に本格的に検討し始めて、月末にはオーダーしていましたね(笑)。高い買い物ですから普通だったらもっと悩んだと思うんですけど、ちょうどその年の春に就職をして、父親から「就職祝いにほしいものはあるか?」みたいな話をしてもらっていたんです。そこでJust earについて「イヤホンなんだけど、自分専用に作ってもらうもので、長く使っていける品物になると思う」と説明したら理解してくれて。ですから僕のJust earは父親からの就職祝いなのです。すぐにオーダーできたのはそのタイミングの合致のおかげでした。

   ── Just earには音質調整モデル「XJE-MH1R」と音質プリセットモデル「XJE-MH2R」があります。当時は「R」がまだ付かない「XJE-MH1」「XJE-MH2」でしたが、音質調整モデルにすることは初めから決めていましたか?

張本 最初からそのつもりでした。Just earが他のカスタムと決定的に違うのはやっぱり、自分専用に音質調整できるという、そこじゃないですか。

「Sound of Harmony」と名付けられた、張本さんのXJE-MH1
「Sound of Harmony」と名付けられた、張本さんのXJE-MH1

妥協のない音質調整で求めていた音が完成

   ── ということは、チューニングのコンセプトも当初から固まっていたのでしょうか?

張本 いやそれがぜんぜん固まってなくてですね(笑)。「自分の好きな音ってどういう音だろう?」って、音質調整に行く前日まで悩んでいました。そしてそのまま、音質コンサルタントの松尾伴大さんとの音質調整に臨んだんです。当日に松尾さんとの会話を通して自分の好みをあらためて掘り起こして、それを音に反映していってもらったという感じでしたね。ですから時間は相当かかりました。チューニング前はまだ明るかったのに、チューニングを終えて外に出たら暗くなっていましたから(笑)。

幅広いジャンルの音楽を聴く張本さん、カトリック系の学校の合唱部で宗教音楽も親しんだ
幅広いジャンルの音楽を聴く張本さん、カトリック系の学校の合唱部で宗教音楽も親しんだ

   ── 音質を探っていくとっかかりとなる、「ここは大切にしたい」というポイントなどはありましたか?

張本 「声」がよく聴こえるようにしたいというのはありましたが、でもほとんど白紙に近かったです。本当にその場で、当日に持ち込んだ曲を松尾さんと聴きながら自分の好みを見つめ直した感じでした。ミュージカルや宗教音楽、Earth, Wind & Fireなどの時代の洋楽ポップス、当時ハマっていたコンテンツ(アイカツ、アイマス、マクロス等)の曲とか......

   ── 同世代の多くの人にとってはあまり触れる機会がなさそうなジャンルも聴いていらっしゃるんですね。

張本 小・中・高校とカトリック系の学校で合唱部に所属していたので、宗教音楽はそこからです。ハーモニーへの興味やこだわりが強いのもその影響だと思います。70年代や80年代の音楽は、小学生の頃に家庭教師だった方に教えてもらって聴くようになりました。

   ── ハーモニーといえば、張本さんのXJE-MH1は「Sound of Harmony」と命名されています。そこは重要なポイントでしたか?

張本 はい。松尾さんにいただいた「例のカード(納品時に音質コンサルタントからのメッセージカードが添えられる)」がこれなんですけど、最終的にはここにもあるように、
・ヴォーカルを中心に
・混声合唱をバランス良く
・見通しの良さ
というポイントを重視した音質調整をしていただきました。混声合唱の再生では、男女どちらの声にも偏らないバランスが必要です。見通しの良さというのは、宗教音楽では教会の響きのような空間表現も大切なので、そういう曲を聴きながら「もっと高さや広さを感じられるようにできますか?」と要望して調整していただいたと記憶しています。

納品時にその場で受け取ったメッセージカード
納品時にその場で受け取ったメッセージカード

   ── その時点で所有していた他のイヤホンの特徴との棲み分けも考えたりしましたか?

張本 当時のお気に入りだったイヤホンCampfire Audio「Andromeda」は高域の輝きが強く、それが持ち味ではあるのですが、曲によっては強すぎると感じる時もありました。ですからJust earでは高域は伸ばしつつも高音が耳に刺さらない範囲に抑え、低域もうるさすぎると聴き疲れるので、制動を効かせてもらいました。抑えの効いた正確な低音再生は宗教音楽でも大切になりますし。疲れずにずっと聴き続けていられるイヤホンにしたいというのは、それまでのイヤホン経験から自然と導き出されたものだったのかなと思います。

   ── では、いよいよ完成!それを受け取って聴き初めの印象は?

張本 受け取り時の最終調整にも、また松尾さんと一緒にかなりの時間をかけました。親からの就職祝いですから、本当に長く使い続けたいという思いもあって、妥協したくなかったんです。そうして本当に完成したものを使い始めたら......いやもう「すごい」としか言えなかったです。耳にぴったりと密着してくれるし、音は「これが求めていた音だ!」みたいな感じで。最初のXBA-H3、そしてJupiterやAndromedaとの出会い以降では、新しいイヤホンに満足することはあっても、本当に‶感動″することってほとんどなかったんですよ。イヤホンを趣味にし続けて耳が肥えてしまった弊害で(笑)。でもJust earには本当に感動させられました。

   ── 時間さえあればずっと聴き続けていたい!みたいな状態になってしまった?

張本 そうです、そうです!しかもJust earは長時間装着し続けてもぜんぜん疲れないから、耳から外すタイミングが永遠に来ないんです(笑)。着けている時間が長くなるほど耳と一体化してくる感じさえします。Just earの耳型採取って特殊で、ちょっと驚くくらい、大掛かりな仕組みじゃないですか? でもあれの効果ってこんなすごいんだ! って思い知らされました。

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Just earは装着感がダントツ

   ── そういえば張本さんは昨年、メンテナンスでシェルを新しくしていますよね。当時のXJE-MH1の仕様であったダブルレイヤーフィットシェルから現在のXJE-MH1Rのフルハードシェルに変わりましたが、装着感に変化はありましたか?

張本 そこに少し不安はあったのですが、戻ってきて装着してみたら、ぜんぜん違和感なくて、「初めて装着したあのときのままだ」って安心しました。それに、しばらく預けて戻ってくるまでの間に、オーダーしてから完成するまでのあのドキドキみたいな感じも再び体験できましたし(笑)、メンテナンスに出して良かったです。

   ── Just earとの付き合いも5年目に入っていますが、購入後も別の新しいイヤホンは増えているんですよね?

張本 Just earでイヤホン沼を脱出できるかと期待していたんですけど、ダメでした(笑)。ですがJust earに不満があるわけではありません。Just earは常に自分にとってメインでありオンリーワンでありリファレンスであり、相棒とも言えるイヤホン。そのJust earがあるおかげで、それまでより安心して気軽に他の様々なイヤホンに手を出せるようになってしまったというか(笑)。

   ── Just earあるあるですね(笑)。

張本 今はおおよそ10本ほどのイヤホンをローテーションで使っているのですが、中心はもちろんJust earです。あと、ちょっと散歩みたいなときはこの超小型DAP「PAW Pico」のシャッフル再生を聴いているんですけど、そういう「ちょっとそこまで」みたいなときに気軽に手にするのもJust earですね。装着感がダントツですから。

   ── DAPは他にどんな機種を?

張本 メインはソニー「NW-WM1A」です。結局ソニーの音が好きなんです。以前はソニーのサウンド要素の中でもモニター的な部分にひかれていたのですが、自分の視野が広がった今では、モニター的な忠実性もありつつ音楽の情感も乗っている、それがソニーのサウンドだなと思っていて、そこが気に入っているんです。もうひとつ使っているOriolus「DPS-L2」も、ソニー好き、ウォークマン好きだからこそ興味を惹かれて購入したものですし(笑)。

張本さんが音楽を楽しむためのガジェットたち
張本さんが音楽を楽しむためのガジェットたち

   ── Just earのケーブルは別のものに交換していらっしゃいますね。

張本 以前はぶっとい音質特化ケーブルも使っていたのですが、このDUNUのケーブルは、取り回しの良さとプラグ交換機構の便利さで選びました。Just earの装着感をケーブルで損なうのはもったいないですし、NW-WM1Aでは4.4mm、PAW Picoでは3.5mという端子の違いへの対応も簡単にしてくれますし。

   ── 最後に改めて、張本さんが考えるJust earならではの最大の魅力は何でしょう?

張本 やはり音質調整モデルの存在です。自分の好きな音にできるというだけでも特別なことですけど、その過程、音質コンサルタントの方と一緒に音を作り上げていくっていうあの体験は、Just earでしか得られないものですよね。Just earはオーディオアイテムであると同時に体験型コンテンツですよ(笑)。

取材・文 高橋 敦


Just ear 公式サイト


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