どんな暗闇の中にあっても希望を持って歩き続ける 藍井エイル
Just earでフルオーケストラの前にワープ!
----あとサウンドメイキングにおいては活動再開前後で変化ってありました?
それはあんまりないかなあ。昔からハイ(高音部)がキツいサウンドを聴いていると耳が疲れちゃって、どこでどんな音が鳴っているのか正確に把握できなくなるので、レコーディングのときもライブのときもあまり派手にハイを立たせないようにセッティングしています。それは自分の声についても一緒でキンキンした声で歌っていると自分の耳が疲れちゃうので、ハイを響かせつつも、声の中にロー(低音部)やミディアム(中音部)の成分を滲ませるようにしていますね。
----その藍井さん好みの音像って、このたび発売されるJust earイヤホンにも反映されています?
はい、高音をちょっと抑えたチューニングにしてもらいました。ただ、今はいろんな再生機器があるし、たいていのプレイヤーにEQ(イコライザー)が内蔵されているから、ハイとローを強調したドンシャリな音像が好きな方はプレイヤーをそういうセッティングにしたら高音と低音が派手になるようにはなっています。それは私の楽曲もそうで。基本的には私が楽しくカッコよく聴けるように楽器を録っているし、ミックスダウンやトラックダウン、マスタリングのときにもエンジニアさんにそうしてもらっているんですけど、リスナーさんの好みのセッティングでもちゃんとカッコよく聴けるようなサウンドを目指しています。
----実際Just earの使用感っていかがですか?
これは本当に個人的な話なんですけど、私、耳の穴が小さすぎるのか、どんなイヤホンを買って、どんなイヤピースを使ってもきまって耳から落ちちゃっていたんです。でもJust earなら耳型を採った上でイヤピース部分のパーツを作ってくれるので、まずは「おー、耳からイヤホンが落ちない」って感動しました。
----あはははは(笑)。音鳴りはいかがですか?
私は最近、プロゲーミングチームの魚群さんに参加させてもらったり、ゲームが本当に好きなので、ゲームに例えさせてもらうならVRに近い感じがします。ゴーグルをかけてイヤホンをしてVRゲームをプレイすると、本当にゲームの世界に没入できるというか、自分がどこにいるかわからなくなりますよね?
----自宅の書斎でゲームをしているつもりなのに、眼前にあまりにリアルにゲーム世界が描き出されますからね。
Just earにはすごくそれに近い印象を受けました。今、目の前で演奏されているような錯覚が起こるというか。藍井エイルモデルのJust earを受け取って最初に聴いたのはフルオーケストラを使ったあるゲームのサントラだったんですけど、それを聴きながらマネジャーに「わっ、今、私ワープした! ワープ!」って言ってましたから(笑)。
----ゲームの世界ないしはコンサートホールにワープした、と(笑)。
マネジャーはイヤホンをしてないから、全然感動していない。「そうなんだあ」って感じでしたけど、本当にワープしたんですよ(笑)。あと私、Cö shu Nieが好きなんですけど、ボーカルは本当に耳元で歌っているみたいだし、楽器もそれぞれスタジオのどこにセッティングしているのかがわかるくらいの臨場感が味わえました。
----3ピースというミニマムなポストロックバンドであるCö shu Nieからフルオーケスラマで、ジャンルを問わず藍井さん好みの音を鳴らしてくれている?
本当にいろんなジャンルの音楽に似合うイヤホンができたな、と思っています。ユーザーの方にはJust earだからこそ聴きたいアーティストや楽曲を見つけてもらいたいですよね。絶対にみなさんの音楽ライブラリの中にもピッタリの1曲があるはずですから。
【プロフィール】
藍井エイル(あおい・えいる)
北海道札幌市出身。動画サイトにピコの「Story」のカバー曲を投稿したことがきっかけで、作曲家の安田史生と知り合い、2011年4月『リスアニ!』Vol.5の付録CDに安田に提供された楽曲「frozen eyez」がEir(エイル)名義で収録される。同年10月テレビアニメ『Fate/Zero』のエンディングテーマ「MEMORIA」でメジャーデビュー。16年から2年間の活動休止期間を挟み18年2月に活動再開を発表。6月に14枚目のシングル「流星/約束」をリリースし、8月復帰後初のワンマンライブ(日本武道館)で行う。19年、「MEMORIA」が成アニソン大賞アーティストソング賞(2010年 - 2019年)に選出される。21年4月にはプロゲーミングチーム「魚群」にストリーマーとして加入。6月にTVアニメ「バック・アロウ」2ndクールOPテーマ「鼓動」をリリース、8月にはTVアニメ「BLUE REFLECTION RAY/澪」2ndクールOPテーマ「アトック」をリリース予定。また8月から9月にかけて全国を15公演まわる「藍井エイル LIVE TOUR 2021 〜ATOK〜」を開催予定。
取材・文 成松 哲
撮影 葛西亜理沙