活躍の場を広げるアーティスト春奈るな
「すべては音楽を中心にまわっている」
アニソンアーティスト・春奈るなとSONY のテーラーメイドイヤホンJust earがコラボレーションした「XJE-MH/LUNA」が11月29日に発売される。
そこで「わたしのオト」では7月に続いて、春奈さんを再直撃。「XJE-MH/LUNA」のこだわりのポイントや魅力はもちろん、アーティストとしてのキャリア、ボーカルスタイルのこだわり、普段聴いている音楽のことなど、幅広い話題について大いに語ってもらった。
――春奈さんは2012年5月にアーティストデビューをして......。
もう8年なんですよね。あっという間でした。
――「あっという間」という感じ?
本当に充実した毎日を送らせてもらっているから、あっという間に感じているんだろうな、と思っています。イベントやライブ、SNSや生配信を通じてファンの方と交流したりしていると本当に時間がすぐに経ってしまって。ありがたいことにそういう状態が8年間ずっと続いている感じがします。
――しかも毎年数曲の楽曲を発表しているし、アルバムを制作することもあるだろうし。あと、今年は文藝春秋の電子書籍フェアのイメージキャラクターも......。
やらせていただきましたね(笑)。
――ほかにもウェディングドレスのプロデュースやモデルもなさっています。
ただ私の感覚的にはすべて音楽を中心にまわっている気がするんです。モデルのお仕事であれば、そのお洋服の世界観にインスパイアされて新しい音楽表現が生まれることもあるし、それはドレスのプロデュースについても、イメージキャラクターもそうで。どのお仕事にも必ず音楽にフィードバックできる発見があるので本当にありがたいなと思っています。
――そして8月からはもうひとつ新しいお仕事を始めています。
「るな氏のガチ充チャンネル」というYouTubeチャンネルを開設させていただきました。ただ、あれはお仕事なのか趣味なのか......(笑)。
――二次元キャラクターのプリントされた缶バッチをものすごい数貼り付けた"痛バッグ"コレクションを紹介したり、お気に入りのゲームアプリ『ディズニー ツイステッドワンダーランド』(ツイステ)を延々とプレイしてみたり(笑)。
音楽を聴いていただくためのYouTubeチャンネルはすでにあるので、「ガチ充チャンネル」では本当に自由にやらせていただいています(笑)。
どちらかといえば趣味に特化して、〝るな氏はこんなに好きなものにガチなんだ″っていう人間性みたいなところを感じて欲しいと思っています。
――音楽のチャンネルとは視聴者層ってやっぱり違います?
かなり違いますね。「ガチ充チャンネル」は女性の視聴者が多くて。私のほかのSNSのフォロワーさんは圧倒的に男性が多いので、それが本当にうれしいんですよね。しかも、あの動画を観てくれているっていうことは同じ趣味を持っているってことじゃないですか。そのオタクの輪が広がっていくのがいいし、なにより女の子ってかわいいじゃないですか(笑)。
――はい(笑)。「ガチ充チャンネル」で春奈さんを知って音楽を聴き始めたみたいなファンの方って......。
ありがたいことに、もういらっしゃるんですよ! 8月に開設したばっかりなのに。曲を聴いてくれたり、カレンダーのインターネットサイン会に参加してくれたり。好きなものが同じだから、親近感を持ってくれるみたいです。うれしいですね。
――あっ、推しかぶりや同担(ともに「同じキャラクター・人物を推しているほかのオタク」のこと)はOK?
昔は「そう言っておいたほうがカッコいいのかな?」と思って同担拒否していたんですけど(笑)、今はまったく反対。推しの話を一緒にしたいです。
――好きな作品やキャラクターのことを「好き」って言ってみたら、それがちゃんと届くべき人に届いたうえに、春奈さんの音楽も届いた。ある意味、モデルやイメージキャラクターの仕事と音楽の関係に似ているというか......。
そうですね。「ガチ充チャンネル」もちゃんと音楽につながってくれている気がします。
音楽は日々欠かせない大切なもの
――デビュー当時、8年前の春奈さんは、こんなふうに幅広いシーンで活躍している今の姿を想像できていました?
全然(笑)。デビュー曲の『空は高く風は歌う』がどっしりとしたバラードだったので、今後もそういう曲を歌っていくことになるのかな、と思っていましたから。でも、今ではいい意味で全然ジャンルがバラバラの曲たちを歌わせてもらっています。
――前回、7thシングルの『君色シグナル』(2015年)以降、表現の幅が広がったっておっしゃっていました。
それまで私がテーマソングを歌ってきたテレビアニメは「Fate/Zero」や「ソードアート・オンライン」や「〈物語〉シリーズ」と非現実的な作品が多かったから、楽曲もやっぱりどこか非現実的なテイストだったんですけど、『君シグ』は「冴えない彼女の育てかた」のテーマソングですから。等身大の女の子の恋愛感情を歌うことになって、初めて「リアリティのある気持ちを歌うのはこんなに楽しいんだ!」って驚いて(笑)。それ以来、キメキメの曲もあれば、ポップな曲もあるけれど、それを両立させられるようになった気がするし、今では両立させようとあれこれ頭を悩ませるのを楽しんでいますね。
――しかもそのどの曲もが国内はおろか、世界のアニメファンに届いている。
アニソンって本当にそこが魅力だなって思っています。「春奈るなはこういうジャンルの人」というふうに音楽性を特化することなく、アニメに合わせていろんな世界観の歌を違和感なく歌える上に、それを世界の人が口ずさんでくださっている。実際に海外でライブをすると、言葉が通じなくてもファンの方が日本語で一緒に歌ってくれるし、その人たちとアニメのセリフだけで会話が成立しますし(笑)。初めて行った国でライブをするたびにアニソンやアニメのすごさを感じています。
――ただ、それだけ多くの人に愛されていて、期待されていると歌う側も責任重大というか......。
それは本当に感じています。このお仕事を始める前は趣味で歌っていただけ。どこに届けるわけでもないから、自分の世界だけで自己満足して完結していたんですけど、今は必ず受け取り手がいるし、そのひとりひとりそれぞれが楽曲に対して思うことはあるはずですから。レコーディングでもライブでも、その気持ちに寄り添うことができるように一曲一曲を大切に歌っています。
――その世界中の人のいろんな事情や希望が重たくなることは?
重圧に感じたことはないですね。本当に誇らしいというか。自分が歌ったことによって誰か喜んでくれる人がいるなんて、こんなぜいたくなことはないじゃないですか。
――確かに。日々音楽表現をしていくうえで、ほかのアーティストの楽曲を参考にしたりします?
デビュー前はまさにお勉強のためにいろんなアーティストさんを聴いていたんですけど、私、ほかのアーティストさんの歌声を聴き込んでいると自然とマネしちゃうんです。ビブラートのかけかたや声のしゃくりかたがうつっちゃうんです。だからデビューしてからは学ぶために音楽を聴いたことはないですね。
――では、今の春奈るなのボーカルスタイルはどうやって?
感覚ですっ! リハーサルやレコーディングのたびに「私の歌い方はこうかな?」って感じで出てくる声のことをとにかく信じ抜いてきたというか。「私の声はこれ!」って信じて歌い続けていたら、春奈るなの形ができあがっていた感じですね(笑)。
――では、今、音楽を聴くのは完全に趣味?
もうちょっと大事なもの、日々欠かせない大切なもの。音楽に触れているのが当たり前の生活ですね。
――最近なにを聴いています?
なにを聴いてるかなあ......。ボカロ曲が多いかなあ。
――ほかのボーカリストをいかに参考になさらないかがよくわかる言葉ですね(笑)。向こうは機械で合成された音声だし、マネようがない。
そうなんです(笑)。あとはそのボカロ曲を歌い手さんがカバーしている......。
――いわゆる「歌ってみた」?
そうです、そうです。それとアニソンやヴィジュアル系のような私のルーツとも言える楽曲を聴いている感じですね。