子どもの頃からの夢を現実にした春奈るな。 アニソンを自分らしく歌えるのは アニオタだからこそ

音楽とファッションはブレない軸

   ――春奈さんは現在、音楽とファッションという子どものころから好きだったものを仕事にしています。なぜ子どものころの夢を2つもかなえられたと思います?

   なんでなんだろう(笑)。小さいころから自分には音楽とお洋服しかない、って思ってたからかなあ。

   ――音楽と洋服しかない?

   すごく不器用だし、運動も全然できないし、勉強もそんなにできるタイプではないんですけど、歌うこととファッションについてだけは自信を持って「私、これ得意」って言い切れたんです。だから子どものころから「絶対にそういう世界で生きていきたい」という軸みたいなものがずっと心の中にあって、今でもそれがブレていないから、周りの人が私のことを見つけてくれたのかもしれないですね。

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   ――そういう軸のブレない人であれば、2012年発表の『空は高く風は歌う』が「Fate/Zero 2ndシーズン」、『Overfly』が「『ソードアート・オンライン』フェアリィ・ダンス編」と、デビューまもなく自身の楽曲が人気TVアニメのテーマソングに採用されたことにもあまりプレッシャーは感じなかった?

   いえ、ものすっごいプレッシャーでした。私自身がアニメオタクだから、視聴者がアニメの世界観に合ってないテーマソングを聴くときっとツラくなるとわかるんです。だからFateやSAO(ソードアート・オンライン)のファンの人に「なんかあの曲、違うよね」って言われたらどうしよう、という恐怖もあったし、作品ファンの方をガッカリさせてはいけない、という気負いもありました。

   ――でも今の春奈さんは、すごく軽やかにアニソンシンガーの活動をなさっている印象を受けます。

   自分らしくアニソンを歌えているな、と思えるようになったのは『君色シグナル』(2015年の7thシングル)をレコーディングしていたころからかなあ。『君色シグナル』の歌詞ってものすごくストレートに私の心に響いてきたから、歌っている声色や表情もすごく自然でリアルなものになった気がするんです。実際、MVを見返してみると明らかに顔つきが違うんですよ。

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   ――しかも『君色シグナル』は「冴えない彼女の育てかた」のオープニングテーマ。作中に流れる春奈さんの歌声も相まってアニメ自体人気を呼んで、その後テレビアニメはシリーズ化されたし、劇場版も制作された。さらに最初にお話しした通り、春奈さんはそのテーマソング集『glory days』をリリースしている。

   確かに「冴えカノ」とは本当にいい関係を築かせてもらっている気がします。

   ――あと『君色シグナル』の詞がご自身の心に響いたとおっしゃるように、ご自身の曲を歌うときはメロディやアレンジよりも歌詞の世界に寄り添っている?

   そうですね。これはデビュー当時からやっていることなんですけど、歌詞をいただいたら必ず1回は朗読してからレコーディングに臨むようにしていますし。

   ――必ず一度歌詞を咀嚼してみる、と。

   一度「言葉」としてインプットしてみると、その曲の世界がはっきりわかるし、レコーディングのときにもメロディやリズムに流されることなく歌えるんです。

   ――一方、作詞をするときは、何にインスピレーションを受けています?

   アニメのテーマソングの場合は、アニメ作品そのものや原作の小説・マンガですね。まず脚本や原作を読んで一番共感できるキャラクターに対する想いや、そのキャラクターが抱えているだろう感情を箇条書きにして、そのあとメロディラインは気にせず詩みたいなものを書いて、そのあとメロディに合わせて言葉を削っていきます。

   ――ノンタイアップの曲は?

   いったん詩を書いてから歌詞にする作業は同じなんですけど、基本的にファンに向けた手紙のつもりで書いています。根がオタクだからなのか、好きなアニメやゲームに対する想いを歌詞にすると、なんか二次創作みたいになっちゃうので(笑)。推しているキャラクターへの想いはアニメのテーマソングで存分に書くようにしています。

   ――最新シングル曲『PEACE!!!』であればアニメ「パズドラ」のテーマソングだから......。

   職権乱用とばかりに〝推し″への愛を歌わせていただきました!(笑)

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