〔 音とデザイン 第1回 〕
最先端のアートは音楽とともに生まれるコンセプター坂井直樹さん×アーティスト真鍋大度さん
Perfumeとともに挑戦してきたインタラクションデザイン
坂井:インタラクションデザインに関しては、真鍋さん、そしてライゾマティクスでは、国内外のアーティストを巻き込んだ数々のプロジェクトに参加しているよね。真鍋さんを語るうえで外せない話題が、Perfumeの舞台演出、テクニカルサポートについてです。
真鍋:Perfumeのプロジェクトは2010年から関わっています。実はその数年前から、僕らだったらこういうことができますよ――とPerfumeの演出振付家、MIKIKOさんにプレゼンをしましたが、しばらくの間は無名すぎたのか相手にされませんでした。顔に電気流してる怪しい兄ちゃんでしたしね(笑)。ただ、その後でMassive AttackやU2のライブ演出をしていた元United Visual Artists(UVA)のJoel Gethin LewisやopenFrameworksのメインの開発者であるZachary Liebermanとプロジェクト(※)をやっていたこともあり、実績も積み重なってきたんですね。プロジェクションマッピングなども2009年くらいからやってました。その結果仕事がし易くなったというのはあります。
(※)真鍋氏が携わったプロジェクトによる、プロジェクションマッピングを使ったインタスタレーション作品「Night Lights」(2009年)。
印象深いのは2013年、NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)で開催された特別展 「ライゾマティクス inspired by Perfume」 です。このころから日本では、メディアアートやインタラクションデザインが急速に広まっていて、そのきっかけはPerfumeだったと思います。
坂井:僕も見に行きましたよ。
真鍋:ありがとうございます。この分野の歴史が浅かったこともあり、さきほど坂井さんがしてくださったような、メディアアートやインタラクションデザインの区別なども、当時はまだ世の中に認知されていなかったと思います。これからメディアアートやインタラクションデザインが盛り上がっていこうかというその時期に、日本のメディアアートをけん引するICCでPerfumeのプロジェクトを発表することは、ものすごくチャレンジングで意義のあることでした。
坂井:いまや、プログラミングやデジタル技術を使った作品づくり、舞台演出をしたいという人が増えて、ますます盛り上がっているからね。真鍋さんたちがどのようにつくっているか、ぜひ知りたいところです。で、近々、渋谷パルコでPerfumeとライゾマティクスの仕事を紹介する企画展をもう一度開催するとか。
真鍋:はい。Perfumeとはこれまで新しいこと、難しいことに挑戦してきたので、舞台演出やアートワークの裏側をもっと知りたい、という声がたくさんありました。今回、使用するソフトや制作のプロセスを見せながら、実際に舞台で使ったデバイスなども展示します。Perfumeは世界で最も3Dスキャンのデータをとっているアーティストだと思いますが、それらのデータを使用したVRコンテンツも見どころです。作り手側に興味がある人は、面白く感じるはずです。
坂井:というわけで、皆さんぜひ行きましょう(笑)。
「Rhizomatiks inspired by Perfume 2020」は、渋谷PARCO、4階のミュージアム「PARCO MUSEUM TOKYO」にて、1月27日(月)まで開催中。ライゾマティクスが手掛けたPerfume「Flash」の演出をVR体験できたり、「Tiny Baby」のビジュアルエフェクトにトライできたりと体感型コンテンツが用意されている。