タケ×モリの「誰も知らないJ-POP」きたやまおさむ「良い加減に生きる」
加藤和彦がいなくなって10年...
きたやまと加藤が違った点
フォークルのオリジナル曲の多くが作詞・きたやまおさむ、作曲・加藤和彦というコンビで書かれている。グループ解散後に作詞家になったきたやまおさむには、はしだのりひこが組んだバンド、ザ・シューベルツの「風」やジローズの「戦争を知らない子供たち」、レコード大賞作詞賞を受賞した堺正章の「さらば恋人」など多数のヒット曲がある。
加藤和彦はソロのシンガー・ソング・ライターとして当時のアメリカのヒッピーたちの"LOVE&PEACE"のメッセージをキャッチしたカルチャー・リーダー的なアルバムを発表、73年に組んだバンド、サディスティック・ミカ・バンドはイギリスで評価され、レコード発売、ツアーも成功させた。彼が私財を投げうって設立したPA会社、ギンガムは日本の音響業界を変えた。70年代の日本のロック最大の功労者の一人が彼だ。
ただ、二人が音楽業界にいた時期は長くない。サディスティック・ミカ・バンドのロンドンでのコンサートを、きたやまおさむは、ロンドンの大学の医科研修生として見に行っている。彼の仲間が曲を書き、ロンドンでレコーディングされた彼の76年のソロのファーストアルバム「12枚の絵」の中の「旅人の時代」は、加藤和彦の曲だ。
きたやまおさむは、自著「良い加減に生きる」の中でこう書いている。
"私があの人と違うのは、医学部に戻るという確たる場所があったということです。それに対して、彼のギターのセンスとテクニックは抜群でしたから、その面ではショービジネスに残る自信もあったでしょう"
彼の著書「良い加減に生きる」と同時に自選集CD「良い加減に生きる」も発売されている。選ばれた19曲の中には加藤和彦が合いの手を入れている「旅人の時代」も収録され、ロンドンで曲作りをしている二人の写真も載っている。