Just ear 購入レポート(後編)
"究極のパーソナルオーディオ"の完成

音質の最終調整

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   続いては、音を鳴らし、井出さんと共に音質の最終調整を行う。前回のコンサルティングと同じく井出さん自身が淹れたこだわりのコーヒーを飲みながらの会話だ。

   「どうでしょう?」

   と訊かれて、まず率直に答えた一言は「バッチリです」。基本的には狙っていた方向性の音質だった。ただ、やはり最初の音質調整で使用した汎用のものと、カスタムメイドされたイヤーピースでは違いもある。耳穴の密閉感が増していることで、聴こえ方も変わってくる。せっかくなので、もう少しだけ付き合ってもらうことにした。

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   一つ考えたのは「低音に存在感がほしい」という前回のオーダーを踏まえての調整。Billie EilishやDrakeを聴きつつ確かめると、思っていたよりも低域が前面に出てきている感がある。このあたりの音源はまさに2010年代後半になって海外のメインストリームのポップ・ミュージックの音作りがダイナミックに変化している部分なので面白いのだけれど、もう少しナチュラルな方向に戻してもらって再度チェックする。

   実際にどのようにしているかは企業秘密ということだが、井出さんの作業を経て聴いてみると、たしかに変わっている。ヴォーカルの聴こえ方のニュアンスや距離感、全体のバランスなど、細かい特性を伝えることもできる。

   「ヴォーカルがもう少し前、ハイハットが少し奥に行く感じでお願いできますか?」

   と言ってみる。こんな風に音像感をプロフェッショナルに伝えて試してみることができるというのも得難い体験だ。

   どんな曲を、どんな風に聴くかによっても、求める音は違う。自分の場合は、基本的にはインタビューやレビューのために全体の音像を集中して聴き取るような"仕事モード"で聴くことが多いのだけれど、いざ製品が届いてみたら、その前提は踏まえつつ、もっとリラックスした状態で心地よく音楽を楽しむ"リスナー"としてのスタンスも重視しよう、と考えた。

再度、正しい装着方法の確認
再度、正しい装着方法の確認
最終調整後の試聴
最終調整後の試聴

   そうして、いよいよ完成。モニタリングや音楽制作向けの用途というよりもリスニング向け、さらに言えば、現在進行系のポップ・ミュージックをバランスよく聴けるような音質に仕上がったのではないか、と思っている。

   なので、今回個人的に用意した試聴用のプレイリストには、自分が普段スピーカーやヘッドホンをチェックするために使う曲に加えて、現行のポップ・ミュージックの潮流を象徴するような面々を並べてみた。

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商品のセット内容。最終調整を確認後、最終のプレートが取り付けられる
商品のセット内容。最終調整を確認後、最終のプレートが取り付けられる
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