イヤホンの歴史 5(最終回) カスタムIEMの普及と最新イヤホンのトレンド
2019/8/ 2 16:30
前回の「イヤホンの歴史 4 カスタムIEMの誕生 ~耳にぴったりのイヤホンが聴覚を守る~」では、カスタムIEM(インイヤーモニター)の歴史やプロのミュージシャンがカスタムIEMを使うようになった理由をお伝えしました。さて、最終回となる今回は、カスタムIEMがプロだけでなく、一般の音楽ファンへ広まっていった経緯と、ワイヤレスやノイズキャンセリングなど最新のイヤホン事情をお伝えします。
イヤホンの最新トレンドはフルワイヤレス&ノイズキャンセリング。ソニーのフルワイヤレスイヤホン「WF-1000XM3」は、使用状況に合わせて、ノイズキャンセリング/外部音取り込みのONとOFFをイヤホンからコントロールできる。
リスニング用として人気を集め始めたカスタムIEM
もともとステージ用モニターイヤホンとして誕生、発展してきたカスタムIEMですが、フィット感の素晴らしさや遮音性の高さから、本来の使用目的であるライブステージ用としてだけではなく、リスニング用の高級イヤホンとしても高い人気を集めるようになっていきました。
とはいえ、私が最初にカスタムIEM購入を検討し始めた2000年代中盤の頃は、海外メーカーに直接オーダー(当然英語で)しなければならず、そのうえ耳型を採取して海外発送する必要があったり、2~3ヶ月待ってやっと製品が到着しても、フィット感がダメな場合はまた海外に送り戻したりといった、オーダーメイドならではの敷居の高さがありました。唯一、日本国内にシェル製作のラボがあったSensaphonicsだけはレスポンスの良い反応を実現していたように記憶しています。
Sensaphonicsは海外メーカーであるものの、山梨県のラボで生産されている。最上位機種である「Prophonic 3 MAX(MMCX型リケーブルモデル)」は3つのドライバーユニットを搭載し、大音量と高音質を両立させている。