タケ×モリの「誰も知らないJ-POP」THE ALFEE、ツアー2800本
やり続けた45年の進化

大砲から飛び出すのは花です

   2019年のツアー「45th Anniversary Best Hit Alfee 春の乱」を見ていて驚いたことがあった。オープニングから小一時間、ぶっ通しで10曲以上演奏し続けたのが激しいハードロックだった。三世代に及びそうな客席も総立ちで拳を振り続けている。どう見ても還暦を過ぎたバンドのライブの光景ではない。後半にはアコースティックなハーモニーを聞かせるパートもある。かと思えば高見沢俊彦が脚本を書いた、客席が抱腹絶倒のコントも用意されている。

    何よりも高見沢俊彦の声が若い頃よりも太くて堂々としている。鍛え上げたと思われる身体の動きも逞しい。桜井賢もインタビューで「発声を変えた」と話していた。

   「3人でラジオをやってるんですけど、今年になってTHE ALFEEにはまりました、とか、二週間前に好きになりました、という声を結構聞くんです。何がきっかけなのか、こっちが聞いてみたいですよ(笑)」(坂崎幸之助)。

   45周年アルバム「Battle Starship Alfee」の中に「進化論B」という曲があった。

   「THE ALFEEにとって進化とは何でしょう」という質問に、高見沢俊彦は「還暦を迎える前は、少しはスローダウンなのかと思ったら全然そうじゃない。コンサートが刺激なんでしょう。やり続けることが進化なんだと思います」と言った。

    休みなく続けたツアーの本数はまもなく2800本。8月3、4日には幕張メッセ国際展示場で「45th Anniversary Summer Best Hit Alfee 2019 夏の乱」が行われる。

   「Battle Starship」は「宇宙戦艦」。セットも戦艦なのだろうか。坂崎幸之助は「でも、大砲から飛び出すのは砲弾じゃなくて花です」と笑った。

   THE ALFEEは、70年代の「LOVE PEACE」を経験している世代の最後の現役バンドになるのかもしれない。

(タケ)


タケ×モリ プロフィール

タケは田家秀樹(たけ・ひでき)。音楽評論家、ノンフィクション作家。「ステージを観てないアーティストの評論はしない」を原則とし、40年以上、J-POPシーンを取材し続けている。69年、タウン誌のはしり「新宿プレイマップ」(新都心新宿PR委員会)創刊に参画。「セイ!ヤング」(文化放送)などの音楽番組、若者番組の放送作家、若者雑誌編集長を経て現職。著書に「読むJ-POP・1945~2004」(朝日文庫)などアーテイスト関連、音楽史など多数。「FM NACK5」「FM COCOLO」「TOKYO FM」などで音楽番組パーソナリテイ。放送作家としては「イムジン河2001」(NACK5)で民間放送連盟賞最優秀賞受賞、受賞作多数。ホームページは、http://takehideki.jimdo.com
モリは友人で同じくJ-POPに詳しい。


   出典元: タケ×モリの「誰も知らないJ-POP」
https://www.j-cast.com/trend/column/jpop/

   

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