白身魚を食べただけで筋肉が増大する タンパク質の王者「卵」以上の効果

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   魚の健康効果といえば、魚油の中に血液をサラサラにする成分が含まれているイワシやサンマなどの青魚ばかり注目されるが、スケソウダラのような白身魚のタンパク質に筋肉を増強する驚きの効果があることがわかった。

   水産食品大手「日本水産」の生活機能科学研究所が、東京大学など5つの大学・研究機関との共同研究で、2017年10月1日に開かれた日本アミノ酸学会学術集会で発表した。筋肉の中でも特に瞬発力をつかさどる「速筋」を増やす効果があるという。

  • 白身魚のタンパク質がスゴすぎ
    白身魚のタンパク質がスゴすぎ
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東大などの5機関のスケソウダラ共同研究で判明

   日本水産生活機能科学研究所の発表資料によると、この研究はスケソウダラのタンパク質を使った5つの連続した報告で成り立っている。その中でも中心になる研究が、立命館大学の藤田聡教授(スポーツ健康科学)が行なった65歳以上の女性19人を対象とした臨床試験だ。この年代の女性は筋肉量が1年間に平均で1~2%ずつ減少するといわれる。

   女性たちに、スケソウダラの魚肉ミンチ4.5グラム入りのレトルトスープを毎日飲むことを加えるだけで、運動などは特に行わずに、通常の生活を3か月送ってもらった。その結果、全身の筋肉量が19人中15人で増加した。19人の平均値も0.4ポイント(1年間でならすと1.2ポイント増)と統計的に有意に増加が確認された。何もしないのに、減るはずの筋肉量が増えたわけだ。

   次に、愛媛大学の岸田太郎教授(栄養科学)が、筋肉量を増やしたタンパク質の有効成分について発表を行なった。ラットにスケソウダラの魚肉を与える実験を行なったところ、ミオシンを多く含む部分の筋肉量が増加することを確認した。ミオシンは筋肉を素早く収縮させるタンパク質だ。筋肉には「速筋」(そっきん)と「遅筋」(ちきん)があり、この2種類の筋繊維が混ざり合って筋肉を構成している。速筋は、瞬間的に大きな力を出す筋肉で、短距離走やウエイトリフティングなどで活躍する。一方、遅筋はマラソンなどの持久力が必要な時に活躍する。ミオシンは速筋にかかわるタンパク質だ。

   続いて、東京大学の岡田晋治特任教授(農学生命科学)が、スケソウダラを与えたラットには、運動後の筋肉増量作用に類似した遺伝子変化が起こる事を確認したと報告した。つまり、スケソウダラの魚肉を食べただけでラットの筋肉の合成が促進され、さらに分解が抑制されることから筋肉の増大が引き起こされるメカニズムが明らかになった。

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