悪性脳腫瘍を発症したが手術や抗がん剤による治療を受けず、食事療法だけで完治したと虚偽の主張を行い、2017年3月に消費者法違反で有罪判決を受けていた豪州の女性ブロガー、ベル・ギブソン被告に対し豪連邦裁判所は9月28日、罰金刑を命じた。
だましやすい人をターゲットに荒稼ぎ
ギブソン被告は2013年ごろから自身のブログで「オーガニックフードを中心とし、グルテンや乳製品、カフェインを除去した食事療法で悪性脳腫瘍が完治した」と主張。
一部の人々から高い支持を受け、自身の「治療体験」に基づいたスマホアプリやレシピ本を販売し、莫大な利益を上げていた。
しかし、収益を脳腫瘍の患者団体などの慈善事業に寄付すると宣言していたにもかかわらず、実際には私的に使用していることが発覚し、ギブソン被告の主張そのものに疑問を投げかける声も浮上。
医療記録を公表し、脳腫瘍だったことを証明するように求める声に対しても拒否するなどの対応を続けていたが、2015年に豪州の女性誌「Women's Weekly」の取材に応じ、自身の病歴や治療法などがすべて虚偽だったことを認めた。
その後消費者団体などが「虚偽の情報で消費者を混乱に陥れた」として告訴。今回41万豪州ドル(約3600万円)の罰金刑を申し渡されることになった。
英BBCの9月28日付の記事の中で判決を下した裁判官は、「被告は自分の話に共感しやすい医療知識の乏しい若い女性や病気で苦しむ子どもをターゲットにしており、悪質性が高い」とコメント。営利目的で虚偽の健康情報を広めたことを非難した。
ギブソン被告が販売していた「The Whole Pantry」というアプリや書籍は、3月に有罪判決が下った時点で販売元が販売取り下げや停止処分を行っている。