芸人に襲いかかる「すい炎」の災厄 チュート福田、次長課長河本が死の淵

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   すい臓は、食べたものが十二指腸に入ったときに消化液を分泌する。この強力な消化液が、すい臓自体を溶かす病気が「すい炎」だ。みぞおちと背中に激痛が走り、七転八倒するという。

   芸能人のなかですい炎にかかったのは、なぜかお笑い芸人が多い。「チュートリアル」の福田充徳さん(43)や「次長課長」の河本準一さん(42)。「中川家」の中川剛さん(46)は、何度も仕事を休養している。かつてアイドルとして人気を誇った女性歌手も発症した。

  • 毎日「浴びるほど飲む」人は危ない(写真と本文は関係ありません)
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原因1位は飲酒、男性の方がかかりやすい

   福田さんのすい炎経験が紹介されたのは、2017年6月13日放送の「ザ!世界仰天ニュース」(日本テレビ系)だ。2006年にコンビで「M1グランプリ」に優勝し、仕事も人気も全国区になっていくにつれて、芸人として「このままでいいのか」と悩む日々。もやもやした気分を紛らせるため、ビール2リットルに焼酎ロック3杯を1時間で飲み干して倒れるように眠るのが日課になった。記憶がなくなるほどアルコールに頼らないと、眠れなかったという。

   年始の生番組に出ずっぱりで、ようやく遅めの正月休みとなった2011年1月10日、自宅で朝から酒を飲んでいたら、突然の激痛がみぞおち、背中に襲いかかった。内臓を剣山で叩かれているようで、次第に強くなる。何とかマネジャーを呼んで病院で検査を受けたところ「急性すい炎」と診断された。入院最初の1週間は絶食どころか水すら飲ませてもらえなかった。1か月後に退院したが、体重は16キロも落ちていた。

   難病情報センターのウェブサイトによると、アルコールと胆石が「2大原因」だ。2007年の全国調査では、飲酒が31.4%、胆石が24.4%だった。男性が女性の2倍で、男性の方がかかりやすい。男性は50代、女性は70代が最も多い。

   河本さんの場合、2010年にすい炎を患った。2015年6月29日付の朝日新聞デジタルで、当時の様子を語っている。「家でいきなり、足の指20本分の生爪を一気にはがしたような激痛が背中に襲ってきた」「丸二日、意識が戻らず。その間、家族はこのまま亡くなるかもしれないと医師に言われていたそうです」と壮絶だ。3週間入院し、体重は16キロ減った。河本さんも原因は飲酒、さらにストレスや睡眠不足、疲労、暴飲暴食も思い当たるそうだ。

肺、腎臓、肝臓にも障害を起こす

   1980年代にアイドルとして活躍した堀ちえみさん(50)は、状態がさらにひどい「重症急性すい炎」だった。当時を、2016年6月30日放送の「ヨソで言わんとい亭」(テレビ東京)で振り返っていた。

   みぞおちと背中の痛み、消化不良とお腹が下る症状が出ていた堀さんだが、初めは市販の胃薬で対処しようとした。子どもたちを連れて3泊4日のグアム旅行に行き、帰国後に症状が悪化。夜になって病院に行き、すい炎だと分かった。

   堀さんは、痛みを感じていたのに育児の忙しさもあってなかなか医療機関に足を運ばず、我慢したのが災いしたようだ。番組に出演していた医師の近藤惣一郎氏の見立てによると、すい臓が腫れあがっただけでなく、消化液が体内に染み出して他の臓器にもダメージを与え、その影響で風船のような水ぶくれができ、破裂して炎症を起こした、というものだった。実際に肺に深刻な影響が出て、一時は呼吸困難に陥ったという。

   難病情報センターによると、すい臓だけでなく肺、腎臓、肝臓、消化管などの重要臓器にも障害を起こすものを「重症急性すい炎」と呼ぶ。10%の割合で命を落とし、厚生労働省の「特定疾患」に指定されている。

   原因について、堀さんの口から「酒」は出てこなかった。代わりに、不規則な食生活や育児による多忙、強いストレスがあったという。実は、すい炎の原因でアルコール、胆石に続く3番目は「特定できないもの」で、16.7%に上る。明確な原因がないまま体にいろいろな負荷が蓄積されて、ある日突然爆発したのだろう。

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