悲しい映画を見ると太るってホント?

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   女性は悲しい映画が大好きだが、手元に置くのはハンカチだけにして、ポップコーンやお菓子はやめたほうがよさそうだ。

   悲しい映画を見ると、楽しい笑える映画を見る時より、約30~60%も多い量のポップコーンを食べてしまうことを実証した研究があるからだ。

  • 映画に夢中の彼女には、ポップコーンの代わりに生野菜を(イラスト・サカタルージ)
    映画に夢中の彼女には、ポップコーンの代わりに生野菜を(イラスト・サカタルージ)
  • 映画に夢中の彼女には、ポップコーンの代わりに生野菜を(イラスト・サカタルージ)

「ある愛の詩」はラブコメより食欲3割増し

   この研究をまとめたのは、米コーネル大学の心理学者ブライアン・ワンシンク教授。2015年3月、米医師会誌「JAMA内科学」に論文を発表した。それによると、ワンシンク教授は2つの方法で調査を行ない、悲しい映画がダイエットによくないことを確認している。

   1つ目は、2つの映画を学生たちに見させ、手元にいくらでも食べられる量のポップコーンなどスナック類を置き、映画終了後にそれぞれの消費量を比較した。その映画とは「ある愛の詩」(1970年、主演=ライアン・オニールとアリ・マッグロー)と、「メラニーは行く!」(2002年、主演=リース・ウィザースプーン)だ。「ある愛の詩」は、若い男女が激しい恋の末に結ばれた途端、ヒロインが白血病で死ぬという、涙なくして見られない悲劇。一方、「メラニーは行く!」は、田舎に夫を残し大都会に出たヒロインが金持ち男に言い寄られ、2人の男性の間で揺れ動くドタバタ・ラブコメだ。

   結果は、「ある愛の詩」のスナック類の消費量が平均127グラムで、「メラニーは行く!」の98グラムより約28%多かった。

ポップコーンの代わりに果物や野菜をつまもう

   2つの目の調査は、米国の祝日「サンクスギビングデー」(11月の第4木曜)に全米7都市でリバイバル上映された2つの映画を対象に、映画館で観客が消費した1人あたりのポップコーンの量を比較した。映画館の床やゴミ箱からポップコーンの箱を回収し、食べた量を計算するという骨の折れる調査だ。

   比べた映画は「ソラリス」(2002年、主演=ジョージ・クルーニー)と、「マイ・ビッグ・ファット・ウェディング」(2002年、主演=ニア・ヴァルダロス)だ。「ソラリス」は、主人公が謎の宇宙船の中で地球にいた時に死んだ愛妻と再会し、次第に精神に異常をきたしていく切ない物語。一方、「マイ・ビッグ・ファット・ウェディング」は、おデブで冴えない容姿のヒロインが、超イケメン男子に一目ぼれし、あの手この手でゲットするまでを描いた爆笑コメディー。

   こちらの結果は、「ソラリス」が平均で127グラムで、「マイ・ビッグ・ファット・ウェディング」の82グラムより55%も多かった。

   どうして悲しい映画を見ると、食べすぎてしまうのだろうか。ワンシンク教授は、「食べることで自分を慰め、気分をよくしようとする働きが脳にあるからです」と説明する。特に女性の場合は、「共感脳」が男性より強く働くため、悲しさや寂しさがつのると、食欲増進ホルモンのグレリンの分泌が活発化する傾向がある。それがひどくなったケースが摂食障害の1つである過食症だ。

   そこで、ワンシンク教授はこうアドバイスしている。

「悲しい映画を見るときは、手元にお菓子やデザート類を置かないこと。どうしても口が寂しい人は、ポップコーンの代わりに、カットした果物や野菜を用意しましょう」
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