ANAホールディングス(HD)が2025年4月30日に開いた記者会見で、大阪・関西万博が話題になる一幕があった。芝田浩二社長は4月12日の開会式に出席し、翌13日の開幕初日に会場をめぐった。
訪れたうちのひとつが米国パビリオンで、目玉のひとつは「月の石」だ。月の石は1970年の大阪万博でも展示され、芝田氏は担当者から「これだ」と言われたものの、思わず「まったく違う」と答えてしまったそうだ。なぜ月の石と55年ぶりの「再会」とはならなかったのか。
ANAホールディングス(HD)の芝田浩二社長。記者会見では「月の石」の話題も登場した
912グラムの「立派な石」 vs 118グラム
芝田氏によると、米国館は「疑似のロケット体験が映像で楽しめたし、非常に印象的だった」。一方、月の石を見た時、スタッフから
「ミスター・シバタ、1970年に君は月の石を中学校1年生で見たんでしょう? どうだ、感動しただろう、これだ」
と案内され、思わず
「まったく違う」「私が見たのと違う」
と答えてしまったという。
それにはワケがある。1970年に展示された石は、1969年に「嵐の海」で採取され、アポロ12号が地球に持ち帰った。重さは912グラムあり、32億年前の玄武岩だと推定されている。採取の翌年に展示されたことになる。芝田氏は、この石について「『立派な石』だったんですね」とも話した。
一方、今回展示されているのは、72年にアポロ17号が採取した玄武岩。重さは118グラムで、37億年前のものだと推定されている。あまりの大きさの違いに、「まったく違う」と反応してしまったようだ。