まだ頂が雪におおわれた富士山で、遭難者が無事に救助され、一件落着......といかない「事件」が起こった。
実は同じ人物が5日間で2度、救援要請していたのだ。
閉山中なのに登り「体調が悪くなった、寒い」
富士山の富士宮口8合目(標高3250m)にいる登山者が、擦り傷を作り、震えた状態で倒れている男性を発見、通報を受けた静岡県警の山岳救助隊員が男性を救助した。2025年4月26日13時ごろのことだ。
男性は東京都渋谷区に住む中国籍の男子大学生(27)。救助隊員と日本語で会話ができる状態で、「体調が悪くなった、寒い」と話したという。単独で下山中の最中に高山病になったと見られている。
救助隊が出動して男性を救助し、翌27日未明に、富士宮口5合目(標高2400m)で消防の救急隊に引き継いだ。命に別状はないという。
ところがその後の警察の調べで、この大学生は5日前の22日にも「アイゼンを紛失して下山できない」と富士山頂から警察に通報し、山梨県の防災ヘリコプターによって救助されていたことが判明した。
22日に遭難した際に置き忘れた携帯電話を回収しようと、再び登山して今回の騒動につながったのだという。
富士山は4月25日に5合目までの道路が開通しているものの、山頂までつながる登山道は積雪などで冬季閉鎖が続いており、滑落などの危険性も高い時期だ。