「界隈」に刺さった「国語便覧」、6回再販しても即完売! 「本離れ」の令和になぜ?出版社が明かすその理由

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   国語の授業で使われる副教材「国語便覧」、繰り返し完売する珍事が起きている。2025年3月末にSNSで注目を集めると、オンラインショップでの注文が殺到。25年4月下旬までに6回もの再販を行ったが、毎回すぐに完売する状況が続いている。

   SNSで話題になったのは、第一学習社が販売する「カラー版新国語便覧」。昨今、読書離れが進んでいると言われる中、完売が相次ぐ異例の事態になったのはなぜか。同社の担当者が24日、J-CASTニュースの取材に応じ、その背景を説明した。きっかけは、SNS上の「界隈」に刺さったことだという。

  • 第一学習社の公式サイトより
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  • 第一学習社のXより(@daiichi_g)
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第一学習社の公式サイトより
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アニメや漫画、小説を紹介する「カラー版新国語便覧」

   そもそも国語便覧とは、国語の学習に役立つ情報を視覚的にわかりやすく整理した資料集だ。夏目漱石や芥川龍之介、太宰治などの作家を人物写真とともに紹介したり、万葉集や源氏物語、枕草子などの古典文学に関する資料を掲載したりしている。

   25年3月末、国語便覧を作っている一社「第一学習社」の「カラー版新国語便覧」が突如Xで注目を集めた。同社の担当者によれば、そのきっかけは、約3年前の22年に公開した同社のウェブ記事がXで取り上げられたことだという。

   この記事は、国語便覧の価値や魅力について編集者3人が語るというもの。SNSで注目を集めた理由について、とある「界隈」に刺さったからではないかと担当者はみる。この記事では、アニメや漫画などのサブカルチャー作品に言及していたためだ。

   「カラー版新国語便覧」の特集ページでは、筒井康隆氏の小説「時をかける少女」や、アニメ化もされた漫画「文豪ストレイドッグス」、ブラウザゲーム「文豪とアルケミスト」などを紹介している。

   先述の記事でも、さまざまなアニメや漫画、小説に言及。「カラー版新国語便覧」がサブカルチャー理解に役立つという話題が出ていた。「この点がマスター、審神者、特務司書の界隈(編注:それぞれ特定の作品の界隈を指している)に刺さったのではないかと考えています」と、担当者は説明している。

   国語便覧の度重なる完売について、担当者は次のように語る。

「ともすれば『インターネットで調べればわかるから、本や辞書はいらない』と思われがちな昨今ですが、出版社が精魂を込めて編纂した厚物の資料集をこれだけの方が喜んでくださることに、ある種の感動を抱いています」

   また、高校時代に国語便覧を使った経験から「久しぶりに読んでみたい」という気持ちになった人も多いのではないかと、担当者。今後について「教育出版社の人間としましては、そうした高校生の記憶に刻み込まれるような、価値のある教材を制作していきたいと考えています」と意気込んだ。

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