「階段の色のコントラストをつけて視認性を上げることが重要」
建築分野に関するバリアフリーの法律としては、1994年に制定されたハートビル法があり、それが2002年に改正され、床面積2000平方メートル以上の特別特定建築物について基準への義務付けがなされた。しかし、この面積未満の建物や02年以前の建物は「努力義務」になっているため、未だに問題のある階段が残されているケースもある。なお、条例によって面積要件が引き下げられている地域もある。
「見えにくい弱視の方々などに対する配慮を意識せずにデザインした場合、見やすさや明るさの確保といった観点が抜け落ちる可能性があります」
では、どのようなデザインだと基準を満たすのだろうか。例えば、「踏み面」の先端を指す「段鼻(だんばな)」に、床面とのコントラストのあるラインを引くと段差が分かりやすくなる。両側の手すりの下にある階段の面にラインを引くこともある。さらに、手すりの下に設置された照明で階段が見やすくなる工夫などもあるという。
駅や空港などの公共交通機関はバリアフリー法に沿って整備される個所が多く、弱視者等にも配慮された階段が整備される。ショッピングモールなどの商業施設においても、近年はバリアフリーに配慮された建物が多くなってきているが、既存の建物においても、階段の色のコントラストをつけて視認性を上げることが重要だと、柳原氏は話す。