大阪・関西万博の開幕を2025年4月13日に控え、4月9日に大阪・夢洲の会場が報道陣に公開された。シンボルの大屋根リングは閉幕後に解体・撤去される予定だが、一部をモニュメントとして残す構想も浮上している。
万博の会場デザインプロデューサーで、リングを構想した建築家の藤本壮介氏がリングの上で取材に応じ、「残せるものなら、ぜひ残していけたら」などと話した。藤本氏は3月時点でも「残せるなら、すべて残してあげたい」と話していたが、府民らを招いたリハーサル「テストラン」で「多くの方々が笑顔」になったとして、改めてその意を強くしたようだ。
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万博の会場デザインプロデューサーで、大屋根リングを構想した建築家の藤本壮介氏。大屋根リングの上で取材に応じた
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東ゲートから会場に入るとすぐに大屋根リングが視界に入る
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「世界最大の木造建築物」としてギネス世界記録に認定されている
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会場では大屋根リングを背景に「ミャクミャク」も出迎える
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大屋根リングから見渡した万博会場。対岸も見渡せる
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大屋根リングの柱の番号が「道しるべ」になりそうだ
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大屋根リングの内部は通り抜けることもできる
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夜は大屋根リングもライトアップされる
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大屋根リングを背景に水上ショー「アオと夜の虹のパレード」も行われる
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会場では、電動カート「e-SNEAKER(スニーカー)」150台を貸し出している
吉村知事も「レガシーとして一部でも残したい」
大屋根リングは国産のスギやヒノキ、外国産のオウシュウアカマツから組み立てられ、直径約675メートル、全長2キロ。屋上にあたる「リングスカイウォーク」は2層構造で、高さ12メートルの1段目には階段以外にもエスカレーターエレベーターが通じており、そこからスロープで高さ20メートルの2段目まで登れる。リングの内側では会場が一望でき、外側に目を向けると、尼崎方面が見渡せる。建設費は約344億円。
大屋根リングは3月4日、「世界最大の木造建築物」としてギネス世界記録に認定されている。その際、藤本氏は報道陣に対して「残せるなら、すべて残してあげたい」などと話していた。大阪府の吉村洋文知事も、テレビ番組などで「レガシーとして一部でも残したい」などと発言している。
4月4~6日の3日間にわたって行われた「テストラン」では、抽選で選ばれた大阪府民や関係者など約10万人が参加。藤本氏は、
「テストランで多くの方々が笑顔で歩き回っていらっしゃる姿を見て、残せるものなら、ぜひ残していけたらいいなと思う」
などと話した。
大屋根リングは「今の時代を象徴」しているとして、
「多様性がバラバラになりそうなこの世界の状況において、それでもそれをつなぎ止めたいという意志だ。そのために世界の多くの国がここに集まってきている」
などと説明。木造建築という意味でも「これからの自然と共存する社会を象徴する」として、
「残すことができたら本当に素晴らしいと思っている」
と話した。