奈良公園(奈良市)内の禁止行為として、国の天然記念物「奈良のシカ」に対する加害行為が新たに追加された。施行は2025年4月1日。この内容が10日夜、奈良県の公式サイト上で公開された。
奈良のシカを蹴ったりする行為は「罰則が科される可能性があります」
県の発表によれば、奈良公園を中心に生息する「奈良のシカ」を蹴ったり叩いたりする様子を撮影した動画が2024年7月にSNS上で拡散。こうした行為を受け、保護の強化を図ることになり、県立都市公園条例の施行規則に基づく運用の一部を改正したと説明している。
文化財保護法では、天然記念物を「滅失し、毀損し、又は衰亡するに至らしめた者」には罰則が科される。今回の発表でも、奈良のシカを蹴ったり叩いたりする行為について、「文化財保護法の規定に抵触し罰則が科される可能性があります」と指摘している。
具体的な保護の強化について、「滅失し、毀損し、又は衰亡するに至らしめ」るまでには至らない行為についても規制すると説明。
加害行為を「みだりに、その身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせること及びそれに準ずる行為」と定義し、奈良公園での禁止行為に追加した。
奈良公園室の担当者は10日の取材に対し、以前から「奈良のシカ」との直接的接触は避けるように注意を促していたと話す。マダニがシカに寄生していたり、シカが人を噛むなどの事故が起きる危険性があるためだ。安全に楽しく奈良公園を利用することを観光客に呼びかけている。