日本プロ野球選手会が2025年4月9日、今シーズンから施行された日本野球機構(NPB)による「写真・動画等の撮影及び配信・送信規程」をめぐる見解を公開した。
ファンによるオンライン署名も発足
NPBは24年9月、「試合観戦契約約款」を改定し25年2月1日より「写真・動画等の撮影及び配信・送信規程」を施行すると発表した。試合中の選手を撮影した写真・動画等について、試合中・試合後問わずSNSなどに配信・送信することを禁止するというものだ。
このルールの制定まで、野球観戦中に撮影した写真をSNSなどでシェアすることは、野球ファンの間ではごく自然な楽しみ方とされてきた。
そのため、25年4月7日にはプロ野球ファンが発起人となってルールの見直しを求めるオンライン署名が立ち上がるなど、反発の声が広がっている。
本ルールをめぐっては、球団判断によってファンによる写真・動画のSNS投稿を許可していた北海道日本ハムファイターズが、NPBに改善勧告を受けるトラブルも発生した。
ファイターズは3月31日に公開した声明で、独自の対応をとった理由について説明した。
それによると、規程における「『主催者が承認した場合』に該当する」と解釈した上で、規程の目的である「『プロ野球の普及発展』『球場観戦の価値向上』を実現するため」には、「ファンの皆様が球場で撮影した魅力的なコンテンツを自由に発信できることが不可欠」との考えがあったという。
こうした理由から、「主催球団の裁量による柔軟な運用が可能であるとの解釈の下で今回の措置を実施して参りました」としていた。
「プロ野球の魅力発信やファン拡大に逆効果を及ぼす」
こうした中、日本プロ野球選手会は9日「ファントモ会員をはじめとする多くの野球ファンの皆様の声を受け止め、改めてNPBに対し、本規程の緩和・見直しを求める立場を表明いたします」とした。
写真・動画のシェアについて「ファンの皆様にとっての楽しみであると同時に、プロ野球の魅力を広く伝える力となっています。実際に、そこから新たなファンが生まれていることを、選手も日々感じ、感謝しています」と主張。
選手会は24年9月および25年3月に「本規程の内容が他競技と比べても過度な規制ではないか」として、規程の見直しを要望してきたという。
ファイターズの独自対応については「法的にも自然な解釈であり、ファン目線の柔軟な判断・対応」だったとした上で、NPBに対し「同球団が方針変更を余儀なくされたことは極めて残念」と不満を表明。「本規程の不明確な表現により、球団を混乱させ、このような状況を招いたNPB側にこそガバナンス上の問題があるのではないでしょうか」とした。
規程により「ファンの楽しみが奪われ、プロ野球の魅力発信やファン拡大に逆効果を及ぼす」可能性もあるとし、「SNS上では署名活動を含め、多くのファンが声を上げており、当会はその思いに強く共感しています」と有志による署名活動にも触れた。
「NPBにはファンと選手双方の声に耳を傾け、本規程の緩和・見直しに向けた前向きな議論を強く求めます」と訴え、「プロ野球は、球団関係者のみならず、ファンと選手も一緒に創り上げるものです」と結んだ。
SNSでは、選手会の主張について「徹底的に戦って欲しいね」「よく言ったぞ選手会、ここで屈しちゃダメだ」など、共感と応援の声が相次いでいる。
「写真・動画等の撮影および配信・送信規程」についての日本プロ野球選手会の見解を公開しました。
— 日本プロ野球選手会 (@JPBPA_Press) April 9, 2025
ファンとともに創るプロ野球のために、選手会はNPBに対し規程の見直しを強く求めています。
詳細はこちらからご確認ください。https://t.co/H9yuPPFHzg