SNSでは「ナンパ講師」や「モテコンサル」といった商売をする人々が急増した。有名アカウントはほぼ100%認証マークがつき、万単位のフォロワーを抱えている。情報にあふれ、支持率が高ければ、リプもいいねもあふれんばかりの数がつき、ファンが多いのは一目で分かることだろう。
講師アカウントを「神」として崇める人間が多いけれど、結局のところ、彼らはビジネスだ。情報に弱い客にターゲットを定め、お金を搾取するのが一般的なやり方である。一度、儲けのシステムを作ってしまえば収益を伸ばすのが簡単だからこそ、奪う側の人間がネットを中心にどんどん増えていく。
「ナンパビジネス」「婚活ビジネス」に対する疑問
アカウントを動かす「中の人」は、異性からのモテ方やナンパの効率的な方法、心理テクニックなどの知識に長けている。当たり前だが真っ赤な嘘は発信しておらず、体験を元に語るため、信ぴょう性はそれなりに高いのだろう。
経験豊富な人間なのは確かだが、よく考えると、この手のジャンルの「成功」とは何なのだろうか?とも思ってしまう。
たとえば、婚活に関してはゴールインが目的だ。けれども、ナンパはたくさんの異性を持ち帰ることなのか? それとも、ナンパを経て恋人をゲットするのが目的なのか? など、深く考え始めたらキリがない。
ようするに、何をもって成功で、一体どのような基準で講師を名乗れるのかなど、突っ込んだところまで進むと、さまざまな疑問が浮かぶ。
思えば私は10代の頃、ワイドショーで「爆モテ女子・合コンマスター」と名高いアドバイザーの女性を目にした時、なんとも言えない気持ちになった。「マスター」の称号を得ているのにもかかわらず、彼女は独り身で、今でも飲み会に参加し続ける現役プレイヤーだったからだ。
おそらく盛り上げ上手だとか、男性ウケがいいとかなどの理由で講師扱いなのだろうけど、果たして教える立場に相応しいのかは少々微妙である。
現役を退き、かつての経験をアドバイスできるから「先生」とも考えられたが、現役プレイヤーの「最高峰」だからこその「マスター」扱いなのかもしれない。
いずれにせよ、合コンのゴールであろう恋人作りから目的が外れているような気がしたのだ。だから、彼女のビジネスをスッと受け入れられなかった記憶がある。
複雑に考えすぎだろうか? でも、こういうふうに細かく、筋道立てて考えると、ナンパや婚活に関するビジネスをする人々は、非常に難しい立ち位置ではないか。ハッキリとした答えも正解もないモノを取り扱うビジネスであるため、言い方は悪いが、やり方次第で「信者」を作ることはまぁ簡単である。
たとえ講師本人がその界隈の成功者でなかったとしても、「それらしい振る舞い」を指導し、共感する人間が多ければ仕事として成り立つのだから......。