「ストレス耐性無さすぎ」「マジで迷惑」──入社早々に退職代行サービスを利用する新卒社員に、こうした批判の声がSNSで相次いでいる。だが、多くの利用実績を持つ「退職代行モームリ」を運営するアルバトロス(東京都品川区)の谷本慎二・代表取締役は2025年4月7日、「新卒社員側に責任はないと思います」と取材に話す。その理由を詳しく聞いた。
「退職が悪いことだと捉える日本の文化がある」
谷本氏によれば、25年4月1日から7日までに利用した25年度の新卒は計119人。主な退職理由は、「入社前後の契約内容の乖離」が約3割、「入社前のイメージと実際の職務内容とのギャップ」が約2割。そのほか「入社式や研修期間における会社側の不備」があると説明する。
モームリのXアカウントでは、25年度新卒の退職理由をいくつか紹介。入社式の途中で社長が「舐めてんのか」と説教を始めたり、講師の威圧的な研修で自信を喪失させたり、期待していた接客業務とは異なる職務内容だったりしたケースがあったという。
入社早々に新卒が退社することには批判の声もある。谷本氏は「退職が悪いことだと捉える日本の文化があるから、すぐに退職するのはダメだという声が上がる」と背景を説明した上で、退職自体は悪いことではないと指摘する。
「1社目で早く退職したとしても、2社目や3社目で長く勤めれば問題ないのではないでしょうか。今は仕事が溢れている。人付き合いが苦手ならば、自宅でリモート作業する働き方もある。さまざまな働き方ができることが現代の特徴だと思います」
また、入社間もなく新卒が退社する割合も少ない。「恐らく9割以上の方は長く勤めていますよね。1割以下の方を批判するのではなく、会社として前向きに改善できる部分を改善する方が良いと思います」。