三重県の鉄道会社、伊勢鉄道の公式アカウントが2025年4月6日に投稿した奮闘ぶりが、ネットの注目を集めている。
この日は、自動車レースの世界最高峰フォーミュラワン(F1)の日本グランプリ(GP)の決勝が鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で行われた。伊勢鉄道でサーキットに向かう観客も多く、伊勢鉄道のアカウントでは帰宅者の対応についてポスト。「輸送力は近鉄の方が上です!」と、他社線の利用を呼びかけたりもした。
17時時点で「最終列車に乗り切れない可能性があります」
F1世界選手権シリーズの第3戦・日本グランプリは、鈴鹿サーキットで4月3日から6日にかけて行われた。
最寄り駅の「鈴鹿サーキット稲生駅」は、伊勢鉄道の駅の一つだ。伊勢鉄道は「河原田駅」から「津駅」までの22.3キロを結ぶ路線で、普段は1両編成から2両編成の車両が走る、のどかな路線だ。
大会期間中は特別ダイヤが組まれるほか、近畿日本鉄道(近鉄)の白子駅からの臨時シャトルバスも運行しているが、多くの観客が訪れるため、大会公式サイトでは「ピーク時に乗車まで約1時間から2時間の待ち時間が発生する場合があります。時間に余裕を持って移動いただくのに加え、近鉄平田町駅、または近鉄白子駅からの徒歩移動をご検討ください」とのアナウンスがされていた。
こうした中、伊勢鉄道公式アカウントは混雑の様子について、Xで実況投稿を行った。
6日17時頃の投稿では、「F1お帰りの伊勢鉄道 ただいま、4時時点、凄い混雑です。お時間のある方はお帰りの手段をお考えください。最終列車に乗り切れない可能性があります」と呼びかけ。駅に続く道に、大勢の人があふれる様子を写した写真を公開した。
「お猪口に生ビールを注がれて一生懸命飲んでる気持ちです」
続く投稿では、「かなり混んできました」として「お帰りは他の交通手段をお考えいただいた方が良いです。白子駅まで歩いて頂き、近鉄にお乗り換えください。輸送力は近鉄の方が上です!」と日本語・英語の2つの投稿でアナウンスした。
18時の投稿では、近鉄への乗り換えを呼び掛けつつ「伊勢鉄道は小さな鉄道会社です。今いっぱいいっぱい頑張っていますが、限度もあるです」と投稿。乗客に対し、「近鉄白子駅まで歩いて1時間です。近鉄さんをご利用ください」と求めた。
ギリギリの状況だとして、「お猪口に生ビールを注がれて一生懸命飲んでる気持ちです」ともしている。
「F-1の翌日、ボロ雑巾状態です」
20時過ぎには、「ホッとしています。なんとか皆さんを本日中にお帰りしていただけそうです。一時はどうなるかと思いました。毎年ドキドキで心臓に悪いです」とピークが過ぎ去ったことを報告した。
夜になり、電車を待つ大勢の人が詰めかけていた道から乗客らの姿が消えた写真を添え、「雷の中、雨の中、ずっと待ってくださっていたお客様の列も無くなりました」と投稿。同日は津市などで激しい落雷があったことから、大きな混雑となったようだ。
7日朝の投稿では、「F-1の翌日、ボロ雑巾状態です。お客様、アルバイト、通訳の皆さん、警備会社さまのおかげで、無事、この翌日を生きて迎えることができました。毎年、F1時は胃が痛いし、頭は痛いし、脚は痛いし、腰は痛いし、でズタボロです。そして寝不足」と報告し、「おちょこはジョッキになりたかったー ですが、何もない平日はおちょこで充分な伊勢鉄道」と正直な胸中を吐露。同アカウントでは、例年F1グランプリ期間に混雑の様子を明かしている。
「アルバイト、通訳の皆さん、本当にありがとうございました」と現場を支えたスタッフらにも感謝をつづり、乗客らに向けても「F-1時に伊勢鉄道をご利用いただいたお客様、近鉄におまわりいただいたお客様、いたらない伊勢鉄道でございました」。「ご理解いただき、お静かにお待ちいただいたおかげで、無事完遂できましたこと、誠に感謝しております」としている。
F1お帰りの伊勢鉄道
— 【公式】伊勢鉄道株式会社 (@isetetudo) April 6, 2025
ただいま、4時時点、凄い混雑です。
お時間のある方はお帰りの手段をお考えください。最終列車に乗り切れない可能性があります。 pic.twitter.com/YVzA3GipmC