大阪・関西万博「テストラン」参加者から不安も 入場に1時間半待ち「夏なら熱中症になるのでは」の声

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   大阪・関西万博の開幕まであと1週間。大阪府民や関係者を招き、運営上の改善点を洗い出す万博の「テストラン」が2025年4月4日〜6日の3日間行われ、計約9万人が参加する。

   5日のテストランの参加者に現地で話を聞くと、さまざまな声が聞かれた。

  • 大阪・関西万博の会場(写真:古城 渡/アフロ)
    大阪・関西万博の会場(写真:古城 渡/アフロ)
  • 万博会場の入場ゲート前で待つテストランの参加者
    万博会場の入場ゲート前で待つテストランの参加者
  • 大阪・関西万博の会場(写真:古城 渡/アフロ)
  • 万博会場の入場ゲート前で待つテストランの参加者

大屋根リングに感動、待ち時間長いパビリオンも

   記者が訪れた5日の万博会場は、最高気温が17度で晴れのち曇り。この日のテストランには約3万人が参加した。大阪メトロ・夢洲駅が最寄りとなる「東ゲート」には、多くの来場者が詰めかけた。

   ただ日陰となるエリアはない。空港のような手荷物検査を行っていたため、参加者は陽の当たるエリアに「野ざらし」となり、「夏だったら熱中症になるのでは」と不安の声があがった。話を聞いた人の中には、入場まで1時間半待ったケースもあった。

   開催期間中は、国内外から延べ2820万人、1日当たり最大22万人を超える来場者を見込む。この日の来場者の約3万人を大きく超える混雑も今後予想されており、課題となりそうだ。

   パビリオン、大屋根リングに対しては、肯定的な意見が聞かれた。「ハンガリーといった知らなかった国を知るきっかけになった」「展示の映像が部屋の三画面に投影されて没入できた」「大屋根リングが思ったより大きくて感動した」との声が聞かれたが、1時間以上の待ち時間が発生したパビリオンもあり、事前予約をしないと「かなり列に並んだ」という不満の声も多くあがった。

   大阪・関西万博では、事前にネットでの予約を前提とした「列に並ばない」万博の実現を目指しているが、「パビリオンの予約方法が分かりにくい」と一部指摘されている。「インフォーメーションの係員に聞く高齢者の姿を多く見た」(テストラン参加者)という目撃情報もあり、スマホを使いこなせない高齢者を置き去りにしない対応が求められそうだ。

   レストランはどうか。ネット上では、1杯2000円のラーメン、1杯3850円の「究極のえきそば」が話題になった。参加者からは「やっぱり高い」との声もあった一方で、「テーマパーク価格なら納得」と賛否が分かれた。

   また、テストランということもあり、主なメニューがすべて売り切れとなっていた店舗もあったという。

開幕直前でも「どこの国だかわからない建築物」がある

   一方、建設中などの理由で、各国が自前で建設する「タイプA」の海外パビリオン42館の中でテストランに参加するのは半数以下。オープンが1週間前となる状況で、建設が続いているパビリオンも少なくなく、中には「どこの国かまだ分からないくらいの建築物」(テストラン参加者)もあったという。

   そのためか、海外パビリオンが立ち並ぶエリアの取材は認められていない。産経新聞の報道によると、参加国などから「テストランはメディアへの公開が目的ではない」として取材を受け入れないよう要請があったという。

   また、4日夜にはブラジルパビリオンで天井材と配線が燃える火災が発生している。

   参加者に話を聞くと、「前回の大阪万博(1970年)も、開幕のときにはすべて完成しなかった。仕方ないんじゃないですか」「あと1週間しかないので、できるのを待つしかない」との声が聞かれる。

   テストランの3日間は計約9万人が参加する。そのうち、約4万人は大阪府民・市民を対象とした無料の招待枠だ。府民約35万人から応募があり、吉村洋文・大阪府知事は当時、テストランの応募の倍率が9倍近くとなったことに対して「びっくりしています。こんなに来るんかなと。多くの人が万博に期待して楽しみにしていることの結果だと思う」と語っていた。

   時事通信の2025年3月の世論調査では、万博に行きたいと「思う」は22.0%にとどまっており、今回のテストランで万博の機運醸成につながるかが注目される。

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