日本国内で「レベル4」の自動運転バスが2025年2月3日、営業運転を始めた。自動運転バスは全国で実証実験が進んでいるが、レベル4の中型路線バスの営業運転は全国初という。営業運転で実績を積むことができれば、自動運転バスは全国で普及する可能性がある。しかし、現状では運転区間が限られるなど、課題も多い。
レベル4の営業運転はBRT専用道区間のみ
全国初のレベル4自動運転のバスは茨城県日立市でスタートした。レベル4の自動運転とは「特定の走行環境条件を満たす限定された領域で、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態」を指す。
営業運転を始めたのは地元の茨城交通で、同社が日立市で運営するバス路線「ひたちBRT」の専用道区間約6.1キロだ。BRTとは「バス・ラピッド・トランジット」の略で、廃線になった日立電鉄線の跡地をバス専用道として整備し、中型バスを走らせている。バス専用道のため、渋滞がないのが特徴だ。
茨城交通は2024年12月18日、茨城県公安委員会から営業車両としては国内で初めて、道路交通法に定められた「特定自動運行許可」を受けた。ただし、レベル4の営業運転は、BRTの専用道区間のみだ。専用道区間以外の一般道は従来通り、ドライバーが手動で運転する。
今回、レベル4の自動運転を行うBRT専用道区間にはバス停が14か所、一般道との交差地点が11か所ある。車道と歩道の間にはガードレールがある場所と、縁石だけで仕切られている場所が混在するなど、さまざまな走行環境が含まれているという。
茨城交通は2018年度から経済産業省と国土交通省の支援を受け、みちのりホールディングス(本社:東京都)、産業技術総合研究所(本部:東京都)、先進モビリティ(本社:茨城県つくば市、)、日本自動車研究所(本部:東京都)、日本総合研究所(本社:東京都)とともに、路線バスへの自動運転技術の導入を進めてきた。